マハーバーラタ/1-16.弓の達人ドローナ
1-16.弓の達人ドローナ
昔、シャンタヌ王がまだ生きていた頃、王は森で見かけた双子を連れて帰った。男の子はクリパ、女の子はクリピーと呼ばれた。この双子は偉大なガウタマの孫であった。クリパは武器の使い方に興味を持ち、熱心に学んだ。
ビーシュマは王子達の教育者としてこのクリパを指名した。
ドゥリタラーシュトラの息子達、パーンドゥの息子達、ヴリシニ家、ボージャ家、アンダカ家から若き王子がハスティナープラへやってきて、彼から弓の技術や戦いの技術を学んだ。
王子達が十分熟達してきた頃、ビーシュマはもっと能力の高い先生から学ぶ必要があると考え、ふさわしい先生を探していた。
ある日、王子達がボール遊びをしていると、運悪くボールが井戸に落ちてしまった。ゲームは当然中断となり、少年達は井戸の前で途方に暮れていた。そこにある男がやってきた。
「君達は弓矢の使い方を知らないのかい?」
「ううん、知ってるよ」
ユディシュティラがさらに答えた。
「私達の先生は偉大なクリパです。彼から弓の技術を習っています。井戸に落ちたボールを拾うのに弓矢が何の役に立つというのでしょうか? 私達には分かりません」
「そうか、分かった。見ていなさい」
そう言いながら、その見知らぬ人物は小指にはめていた指輪を井戸に落とした。少年達は意味が分からず驚いていたが、その男は井戸の中に矢を放った。少年達が井戸を覗き込むと、なんと指輪の掛かった矢がボールに刺さっていた!
さらにもう一本の矢を放つと、ボールに刺さっている矢の鏃に刺さった。
三本目の矢が放たれ、先ほどの二本目の矢の鏃に刺さった。
四本目の矢が三本目の矢の鏃に刺さり、矢を放つ度にどんどん繋がっていった。ロープのようにつながった矢を引き上げ、ボールを少年達に返し、指輪を元通りに自分の指にはめた。
少年達はその腕前を目撃して、まるで雷に打たれたようであった。
「あなたが誰なのか教えていただけますか?」
「あなたの祖父の所へ行って、今起きたことを話してごらん。彼ならきっと分かるよ」
少年達は慌てふためいてビーシュマの所へ行き、興奮しながら起きたことを話した。ビーシュマにはその人物がすぐ分かった。そんな芸当ができる弓使いはクリピーの夫、ドローナしか考えられなかった。彼は聖者バラドヴァージャの息子であり、偉大なバールガヴァから弓の技術を習った弟子であった。
遂に王子達の先生が見つかったとビーシュマは喜び、敬意を持ってドローナをハスティナープラへ迎え入れた。
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