中国知財 全国初、悪意先取り商標の譲受人が不正競争をしたと認定
ようやく中国もGWに突入します。中国は、長期休暇を作るために、その前後の週末からお休みを移動させます。
今回のGWの場合、前後の週末から一日ずつ休暇をもってきて5月1日~5日までを連休にしています。実質1日しか祝日がないのですよね。
さて、4月30日付けの現地知財メディアにて、冒頭の「全国初、悪意先取り商標の譲受人が不正競争をしたと認定」という案例が出てきたので簡単に紹介します。
「上诉人西安元贝科技有限公司、西安热爱科技有限公司与被上诉人南京元贝信息技术有限公司不正当竞争纠纷案」で、判決文には2023年4月26日の日付が入っています。出来立てホヤホヤの案例です。
案件の概要としては、そもそも既に知名度のある他人の商標や人物氏名と同一又は類似する商標を700件近く出願していた企業があり、まずその企業の行為が、商標法で規定される「不正な手段で他人の既にに使用され一定の影響を有する商標を先取り登録する」などと認定されています。
そのうえで、商標譲り受け前に、一審原告は運転免許試験教育分野で比較的高い知名度を持っていて、しかも、譲受人は元々自社の商号を使ったソフトなんかを提供していたにもかかわらず、積極的に「元貝」商標の譲受を画策したので、これにより、他人の名誉にあやかって、他人の合法権益に損害を与える明らかな意図があるとして、誠実信用の原則に違反し、権利濫用行為に該当するので、登録商標を譲り受けたことを理由に、不正競争の民事責任を免れることはできない、と認定されました。
まあ、明らかにフリーライド目的で商標を収集している業者から、何か企んで知名度のある商標を買ってくると、買った側も不正競争行為を認定される可能性がありますよ、ということだと思います。
この案件を受けて、商標ブローカーから怪しい商標を購入する行為に一定の歯止めがかかると良いのですが、判断した法院が陝西省高級人民法院ということで、北京や上海などの知財先進地域での案例ではないので、どの程度他地域の法院の判断に影響するのか、ちょっと良く分かりません。
観測気球的な案例なのかもとか、勝手に妄想しています。