中国知財 様々な文書の中で出てくる「高価値発明専利」とは?
これも内容としてはかなり時間が経っているものですが、何度か政策文書で関連する表現を目にしたこと、また、これまで、国家知識産権局内で指標として用いられるものと思っていたのに、北京市高級人民法院の懲罰的賠償に関する文書中でも「高価値発明専利」の語が出現したことから、この機会にメモ代わりに少しまとめてみることにしました。(随時更新予定)
1.「高価値発明専利」の表現が出てくる文書
知的財産高品質発展推進年度業務ガイドライン(2019)において、「高価値専利審査周期を2018年の10%圧縮を基礎として、更に15%以上圧縮」
2020年8月 知的財産高品質発展推進年度業務ガイドライン(2020)において、「高価値専利の審査周期を16か月以内に圧縮する」
2021年3月 知的財産高品質発展推進年度業務ガイドライン(2021)において、「高価値発明専利の審査周期を14か月以内に圧縮する」。また、高価値発明専利を戦略計画司、運用促進司、審査業務部の担当として記載
2021年3月 第十四次五か年計画 第七章 科学技術創新体制メカニズムの完善化 第二節 知的財産保護運用体制の健全化 において、「高価値発明専利のより良い保護と奨励」
2021年10月 「中国知的財産強国建設要綱」で、2025年までに一万人あたりの「高価値発明専利」を12件にする。
2022年6月報道 2021年末には、「高価値発明専利」の審査周期が13.3カ月になった。
2.「高価値発明専利」に関する説明
(1)国家知識産権局戦略計画司司長の説明
検索して出てきたのは、国家知識産権局戦略計画司司長が新華社のインタビューを受けて答えた説明です。それによると、以下5つの状況にある有効な発明専利は、高価値発明専利の統計範囲に入る:1)戦略的新興産業の発明専利、2)海外にファミリーのある発明専利、3)維持年数が10年を超える発明専利、4)比較的高い質、融資金額を実現する発明専利、5)国家科学技術賞又は中国専利賞を受けた発明専利。https://zhuanlan.zhihu.com/p/370053396
(2) ”十四五”国家知的財産保護運用計画
每万人口高価値発明専利保有量とは、每万人口の本国居民が保有する国家知識産権局の登録を経た以下のいずれか一つに該当する有効発明専利:1.戦略性新興産業の発明専利、2.海外にファミリーのある発明専利、3.維持年数が10年を超える発明専利、4.比較的高い質融資金額を実現した発明専利、5.国家科学技術賞、中国専利賞を受けた発明専利。
地方政府が作成した文書で、上記の3.維持年数の記載がないものも見かけています。これを見る限り、2.ファミリーがある、3.維持10年超え、4.高い質・融資金額、5.賞を受けた、については、個別具体的に調べるのは難しいものの、「比較的」明確です。
問題は、分かり辛い「1.戦略性新興産業の発明専利」とは何か?ですが、この戦略的新興産業については、国務院による戦略性新興産業の迅速な育成と発展に関する決定 (关于加快培育和发展战略性新兴产业的决定)という文書があり、これには定義こそないものの、省エネ環境保護産業、次世代情報技術産業、バイオ産業、ハイエンド装備製造産業(航空宇宙、交通、海洋)、新エネルギー産業、新材料産業、新エネルギー自動車産業、が記載されています。
調べることができた内容はここまでです。「高品質発明専利」についてなんとなくは理解することはでき、基本的には主に管轄官庁が内部指標に用いているようです。
しかし、北京高級人民法院が懲罰的賠償の審理指南の条文の中でこの文言を用いているところがあるので、できれば、客観的にこれは「高品質発明専利ですよ」と認定してもらう手段があるとよいのですが。。。