中国知財 改正後専利法施行に関する関連審査業務処理暫定弁法
週末から始まる春節を控え、北京では、スーツケースを持って移動する人々を多く見かけるようになりました。春節は家族の実家である四川省に帰省することも考えましたが、コロナの地方への感染拡大が心配されるので、今回は帰省しないことにしました。
さて、春節前に最近の中国知財の動きをフォローしておきます。一つ目は、国家知識産権局が1月5日に発表し1月11日から施行された、改正後専利法に関する関連審査業務処理暫定弁法(国家知識産権局公告第510号)です。2021年6月に専利法が施行されるタイミングで暫定弁法が出ていたのですが、今回こちらの暫定弁法の施行に伴い級暫定弁法は廃止されます。
要点としては、(既に運用上は知識産権局への問合せにより実務者は知っている内容ですが、)
・部分意匠は出願してよいが、審査は実施細則待ち。
・(新設された)国家緊急事態で新規性喪失の例外の適用を申請してよいが、審査は実施細則待ち。
・先の意匠登録出願に基づいて、後の意匠登録出願の優先権を主張する場合、先の出願は後の出願の日から取下げみなし。
・審査の遅延による期間補償、新薬上市許可申請による期間補償は、請求してよいが、審査は実施細則待ち。
・専利権開放許諾は請求してよいが、審査は実施細則待ち。
・被疑侵害者は、専利権評価報告書を請求してよい。
・信用誠実の原則の審査(非正常出願の審査)、原子核変換方法の審査を行う。
というところです。暫定弁法が出てしまうあたり、逆に当分実施細則は発表されないのか、、、とも思ったりします。。。
やはり四次改正は外国企業にフレンドリーな制度を導入する改正なので、諸外国との関係、特に米中関係が改善する方向にならないと、中国政府としては実施細則を公布・施行するモチベーションがないのかもしれません。以下、手製の訳文です。
改正後専利法施行に関する関連審査業務処理暫定弁法
第一条 専利出願人は2021年6月1日(当日を含む、以下同じ)から、紙版形式又は電子形式により、専利法第二条第四項により製品の部分の保護を請求する意匠専利出願を提出することができる。
部分意匠専利を出願する場合、全体の製品の正投影図を提出し、破線実線の組合せ又はその他方式で保護を必要とする内容を表さなければならず、保護を請求する部分が立体形状を含む場合、提出した正投影図において該部分をはっきり表すことができる立体図を含めなければならない。全体の製品の正投影図において破線実線の組合せ方式で保護を必要とする内容を表していない場合、簡単な説明において保護を請求する部分を明記しなければならない。
第二条 本弁法施行の日から、出願日が2021年6月1日以降の専利出願について、出願人が専利法第二十四条第一号に規定する状況が存在すると考える場合、紙版形式又は電子形式により請求を提出することができる。国家知識産権局は、新しく改正された専利法実施細則施行後上記出願に対して審査を行う。
第三条 出願日が2021年6月1日後の意匠専利出願について、出願人が専利法第二十九条第二項により意匠専利の本国優先権を主張する書面声明を提出することができる。
意匠専利出願人が本国優先権を主張し、先の出願は意匠専利出願の場合、同一の主題について意匠専利出願を提出することができる。先の出願が発明又は実用新案専利出願の場合、図で示されたデザインについて同一の主題の意匠専利出願を提出することができる。
意匠専利出願人が本国優先権を主張する場合、その先の出願は後の出願提出の日から取り下げたものとみなす。但し、意匠専利出願人が発明又は実用新案専利出願を本国優先権の基礎として主張する場合を除く。
第四条 出願日が2021年6月1日後の専利出願について、出願人は専利法第三十条により最初に提出した専利出願書類のコピーを提出することができる。
第五条 2021年6月1日から査定公告された発明専利は、専利権者は専利法第四十二条第二項により,専利権授権公告の日から三か月内に、紙版形式により専利権保護期間補償請求を提出することができ、その後国家知識産権局が発行した支払通知により関連費用を支払う。国家知識産権局は、新しく改正された専利法実施細則施行後上記請求に対して審査を行う。
第六条 専利権者は、2021年6月1日から、専利法第四十二条第三項により,新薬上市許可請求が承認を得た日から三か月内に、紙版形式で専利権保護期間補償請求を提出することができ、その後国家知識産権局が発行した支払通知要求により関連費用を支払う。国家知識産権局は新しく改正された専利法実施細則施行後上記請求に対して審査を行う。
第七条 本弁法施行の日から、専利権者は、専利法第五十条第一項により、紙版形式又は電子形式でその専利実施開放許諾を自発的に声明することができる。国家知識産権局は新しく改正された専利法実施細則施行後2021年6月1日後に提出された上記声明について審査を行う。
第八条 本弁法施行の日から、被疑侵害者は、専利法第六十六条により、紙版形式又は電子形式で、国家知識産権局が専利権評価報告を出すよう請求することができる。
第九条 2021年6月1日から、国家知識産権局は、専利法第二十条第一項、専利法第二十五条第一項第(五)号に従い、初歩審査、実体審査及び復審プロセスにおける専利出願について審査を行う。
第十条 出願人は、国家知識産権局が本弁法により出した関係決定に不服がある場合、法により行政復議申請を提出し、復審請求し、又は行政訴訟を提起することができる。
第十一条 出願日が2021年5月31日(当日を含む)以前の意匠専利権の保護期間は十年であり、出願日から起算する。
第十二条 本弁法は2023年1月11日から施行する。2021年6月1日から施行された「改正後専利法施行に関する関連審査業務処理暫定弁法」(国家知識産権局第四二三号公告)は同時に廃止する。