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もっと“ピン”とくる言葉に。

会社へ行く途中、真っ黒なワゴン車とすれ違いました。
そのワゴンは金の筆記体で「豊泉家」と書かれており、何か荘厳で物々しいオーラをまとっていました。

どんな団体が運営する車なのかは知りませんが、妙に「豊泉家」という言葉が印象的で頭から離れません。「豊かな泉の家」と書いて「豊泉家」と読むわけですが、この字面からはとてもリッチなイメージが湧きます。

なんだかとても広い田んぼに、すくすくと育った稲穂がぎっしりと敷き詰められていて、今年一年は十分に家族揃って暮らしていけそうなことが確定した農家のような。
湧き出る新鮮で清らかな水がとめどなく溢れ出る泉も側にあって、心身ともに健やかな生活を送れているような。

ただ、イメージが古い。
そんな気がするのです。

今やお米なんてコンビニでも買えますし、生産量が減って暴動や一揆が起こることなんてまずありません。水だって綺麗なものが水道からとめどなく流れてくるし、そこら中に冷水機なんかもあります。

そんな時代に「豊泉家」という名前をつけても、どこか有り難みにかけるというか、つまりはピンとこないのです。
これはあくまで感覚的な話であって、別に脳内変換すれば「ああ、とてもリッチな様を表す言葉なんだろうな」とは思えるのですが、都会で生きる私にはどこか別世界の概念に思えてしまいます。

今の時代にピンとくる言い方にした方がいいんじゃないでしょうか。
もっと感覚的にスッと入る、ピンとくる言い方に。

「豊泉家」ですから。
「鬼バズ家」なんていいかもしれません。

もし「鬼バズ家」というワゴンが目の前を通ったら「うわ、すごいフォロワー多そう!」とか「アフィリエイトで鬼のように稼いでそう!」と思えるでしょう。

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あとは「神エモ家」とか。
そんな木彫りの看板を掲げた日本家屋があったら「めっちゃインスタ映えするスポットありそう!」とか「チームラボ系列かな?」と思えてテンションアゲアゲでしょう。

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他にも「タピ卍家」とか「リアチル家」「好きピ家」「らぶはげ家」などなど。今の現代人にフィットする言い回しは常に変化しているはずです。
そして、今はなんだそれ?というような言い回しでも、何百年の時が経てば「鬼バズ家」だって荘厳で趣のある言葉に思えるのかもしれません。

ちなみに「豊泉家」は介護センターの名前でした。
我々が入居する頃には「タピ卍家」かもしれませんね。

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岡シャニカマ
サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。