ペラネコが売れたら人間はおしまい。
今日は朝から「大阪ギフトショー」なるものに参加してきました。
各地からバイヤーの方々が来場し、売り手を探している企業たちがブースを出して出会う場所です。
要するに私が精を出しているマッチングアプリと同じですよね。
そんな得意分野とあって「手伝ってくれません?」と言われた時には即OKをしました。
まず、人間のブースにいくつかの作品を並べていきます。
企業の紹介パンフレットに「あの宝箱」「煉瓦状」「年賀状の天ぷら」「スイス」「間取ラー」などなど。そこに人間の10年間が凝縮されたような、見事にカオスな空間が出来上がりました。
すると、すぐにとあるバイヤーさんがやって来ます。
「これは何ですか?」
花岡さんが説明してくれるだろうと思ってボケっとしていると、バイヤーさんが見ているのは他ならぬ私です。
あろうことか花岡さんは入社2ヶ月の奴隷に会社のブースを任せたのです。
とんだアドベンチャー企業です。
とりあえず見よう見まねで説明をしてみました。
「えーっとこれは『間取ラー』ですね。」
「マドラー?」
「いや、その…。間取りがついてるマドラーで、なので『間取ラー』って言うんですよ。ハハ…」
「へえ…それで、なんですか?」
初っ端から難易度が高過ぎます。今まで営業経験なんてゼロの人間が一発目にバイヤーさんへ説明した商品が「間取ラー」だなんてどうかしてる。
「間取ラーは間取ラーだろが!」と言いたい混じりっけ無い「逆ギレ」を押し殺し、なんとか必死に説明しました。
「弊社はダジャレが多いんですよ…!」
「へえ…」
「あ、普段は広告とかWEBとか作ってて…!」
「ああ、そうなんですね」
とりあえず分かったこと。
「ちゃんと作品以外で稼いでますよ」が伝わらない限り、人間ははたから見たら単なるヤバいやつなのだ。ある意味で反社会勢力とも言える。
そこからコツを掴んだ私は調子に乗って売り物でもなんでも無い「煉瓦状」の説明などを来る人来る人にドヤ顔でし続けた。
「これ煉瓦状って言うんですよ(ドヤア)…ま、本業は別なんですけどね」と言った具合に。
最初はいささか「ボケを説明している」と言う行為が小っ恥ずかしかったのだが、前提条件をキチンと伝えることでバイヤーさんも笑ってくれるようになり、安心して自社作品を紹介しまくった。
しかし、落とし穴があった。
とあるバイヤーさんが「これは?」と指差したものだ。
「ペラネコ」だ。
これは学生時代の山根さん、花岡さんが作ったものであり、ずーっと人間オフィスのトイレ前に飾られている。それしか知らない。
意味もよく分からない。
なぜペラペラなのか、なぜネコなのか。
誰のどんな問題を解決するために存在しているのか。
何だこれは。
しどろもどろな説明をしたあと、すぐさま私はネットでペラネコを検索した。人間公式がどんな説明をしているのか知りたかったのだ。
「写真に撮ったらちゃんと猫」
いや、だからなんだってんだ!
そんなことを言い出したら猫じゃなくても全然いい。
最近だったらタピオカだろう。
ペラタピならわかる。手軽にインスタ映えするし。
ますます分からない。
そこで他の検索結果も見てみることに。
しかし、異様に目立ってしまうペラペラのネコは通り過ぎる人からの脚光を浴びてしまう。その度に説明責任が発生するんです。
時には「アレルギーの方でもお飼いいただける猫です」などと言ってみましたが、まるでハマる気配がない。
そしてもちろん、一度もバイヤーさんから商品化のご提案はありませんでした。
なんなんだ、ペラネコって。
とにかく気になるので、帰りの電車内で再検索することに。
すると花岡さんと山根さんが創業前に書いていたブログが見つかりました。言うなればペラネコの原点です。
そこにはこう書かれています。
売れなかった。 驚くほど。
ただ、鳩とか、象とか、ギターとか、
芝グッズとかが売れてしまった。
猫以外のものが売れてしまった。
いや、じゃあやめろよ!!
と、思ったのですが、少し違う気がしてきました。
ペラネコは売れない方がいいのではないだろうか?と。
ペラネコには見渡す限り1mmも実益がありません。
しかし、それを「なんかいい!」と思える感覚が今の人間にはあるのです。
それが、人間のアドバンテージなのではないでしょうか。
「世間とズレている」とも言えますが、それはある意味「誰よりも先を進んでいる」とも言い換えられます。
かつてジョブズがMacを作る際に大バッシングを浴びたように、ペラネコが売れないのは今の社会が追いついていないからなのです。
つまり、こう言うことになります。
「ペラネコが売れたら人間はおしまい」
今後も売れないことを願ってやみません。
ありがとう、ペラネコ。
そして今日もペラい日報でした。