PM視点で「暴走族」を「武勇伝」を手に入れるためのサロンとして最適化してみた
みなさん、最近「暴走族」を見かけたタイミングがいつでしょうか?
私は大阪の吹田市出身なのですが、吹田には定期的に暴走族が現れ、夜になると住宅街に騒音が響き渡っていました。しかし、東京に越してきてからはあまり見かけませんね。もういないのでしょうか?
でもTwitterで検索をかけるとまあまあ出てきます。
まだいらっしゃるみたいですね。
ここで、シンプルに「彼らはなぜ暴走するのか?」という疑問が浮かびました。皆さんも一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
なぜでしょう。よく「彼らは寂しいから」とか知ったかぶりする専門家が言いますが、もっと合理的な理由があると思うのです。暴走をすることで得する何かが。
そこで「暴走族をして得をしている人は誰か?」と考えてみました。
すると、いくつかの人物が挙がってきました。
代表例が俳優の宇梶剛士さんです。
ご存知の方も多いと思いますが、宇梶さんは有名な暴走族でした。ブラックエンペラーという当時一大勢力を誇っていた巨大な暴走族の「7代目名誉総長」を務めていたことは彼の「武勇伝」として度々テレビで語られています。
宇梶さんは俳優としてとても甘いルックスを持ち、迫力のある演技は誰しもがスクリーンに釘付けとなる、演技力に関してもスペシャリストでしょう。今や日本のドラマ界には欠かせない俳優と言っても過言ではありません。
が、しかし。
宇梶さんが有名になったのも、俳優としてブレイクしたのも、少なからず過去の「武勇伝」が寄与しているのではないでしょうか?
今や俳優さんもテレビでトークをせねばならない時代ですから、彼の「暴走族トーク」は持てはやされることでしょう。それに近年急速に普及したSNSでは、タレントのパーソナルな部分が大いに注目されます。石田ゆり子さんも私生活込みで愛されていますよね。暴走族だった宇梶さんが「更生していいお父さんになっている」という事実は明らかにプラス要因です。
これと同じように、暴走族の過去を持ち、武勇伝を語ることでスターダムにのし上がったタレントは少なくありません。彼らの「特異な過去」はそれだけでオリジナリティのある、貴重な価値なのです。
つまり、暴走族の目的は「暴走行為をしていたという過去を作ること」ということになります。つまり「武勇伝」を作るために暴走族という集団は存在しているのです。
具体的に「武勇伝」を作るメリットは以下の2つです。
・飲み会などで話題になり社交場でのコミュニケーションコストが下がる
・社会に出る上でのハンディと捉えられ、ちょっとした社会貢献が過剰に評価される
これ以外にはありません。これだけです。
そう考えたときに、次の疑問が浮かびます。
暴走族は「武勇伝」を作るために最適化されているのか?
答えは「NO」です。
大事な部分なので丁寧に説明します。
最初に、武勇伝の価値は「武勇伝のカッコよさ」から「暴走行為にかけた労力・リスク」を差し引いたものであると考えられます。そう考えたときに「カッコよさ」は最大化され、「労力・リスク」は最小化されるべきです。
前者について、今の暴走族が行っている行為は「カッコよさ」を最大化させるものでしょうか?そもそも「カッコいい武勇伝」とはどんなものでしょうか?
実際に芸能界で持てはやされている武勇伝は以下の3パターンに分類されます。
①戦闘力誇示型
・腕力の強さ、動物的な強さを誇示するもの
ex.喧嘩、決闘、抗争など
②統率力誇示型
・威厳、リーダーシップ、マネジメントスキルを誇示するもの
ex.総長、特攻隊長、暴走族の規模など
③事件性誇示型
・反社会的であった度合いを誇示することで、度胸や現在の更生っぷりを誇示するもの
ex.逮捕、拘留、指名手配、親不孝など
この結果から、警察24時で見るイメージとは少し違うことに気づきませんか。つまり、ただただ惰性で路上を徘徊して騒音を出しているだけでは、世間から「カッコいい」と思ってもらえず、無駄足に終わってしまうのです。
それより「喧嘩」や「抗争」なんかの方がよっぽど効果的に武勇伝を作ることができる。その点でも、現状の暴走族は「カッコよさ」の追求において最適化されていないと言えるでしょう。
次にリスクの観点はどうでしょうか。警察24時などを拝見していても、彼らはいとも簡単に補導されますし、中には凶悪な暴走族もいて強盗や強制性行などもいるそうです。そこまでの悪さをしてしまうと「武勇伝」とは言えない「笑えない話」になってしまいかねません。
まだまだ、リスクの面においても最適化の余地はあるでしょう。
参考:2017年警察庁調べ
そこで、今回もいつも通りPM視点で改善案を考えてみました。
断っておきますが、暇ではありませんよ。
結論から申しますと、私は暴走族を「武勇伝」を作るための集団、つまりは一種のサロンとして最適化したプランが完成しました。この通りに運営すれば前述の「①戦闘力誇示型」「②統率力誇示型」「③事件性誇示型」の武勇伝が低リスク・低コストで手に入ります。まさに暴走族のユートピアでしょう。
呼びやすいように、これから提案するサロンを「暴走サロン」と名付けます。
それでは順を追って見ていきましょう。
概要
暴走サロンはいくつかのチームが連合した、暴走族連合組織の形態を取ります。阪神や巨人が所属するセ・リーグみたいなものだと考えてください。
そして各チームの代表が集まった「組合」を組織のトップとして、そこから各チームに「代表」「〜番隊長」「〜番隊員」が紐づくピラミッド型の組織構造を取ります。各チーム内のことに関してはチームごとの自治制を取りますが、チームを跨いだ活動に関しては組合の承認を必要とします。
それではここから、以下3つの魅力的な武勇伝がどのようにして暴走サロンで獲得できるのか、お話しいたします。
①戦闘力誇示型
②統率力誇示型
③事件性誇示型
①戦闘力誇示型
ここでは「喧嘩」や「抗争」などを、如何に部外者の方々へ迷惑をかけずに実績として残すかを考えていきます。特に外傷を伴うものなので、万が一重傷を負い、障害などが残らないよう「後から笑える」ように十分配慮することが必要です。
では「喧嘩」と「抗争」に分けて見ていきましょう。
「喧嘩」の仕方について
まずは1対1の喧嘩について、ここで「武勇伝」に必要なものは「喧嘩した数」と「勝敗」、そしてそこに至るまでの「男気」で決まります。これ何かに似ていると思いませんか?
そう、「プロレス」です。
プロレスも試合が数多くあり、しっかりと勝敗がつきます。さらには試合に至るまでの「ドラマ」がきちんと設計されていて、不仲、因縁、裏切り、友情、努力、勝利など、わかりやすいドラマが土台にあることでプロレスは普通のスポーツとしての格闘技以上に盛り上がります。
ではプロレスを参考にしながら「喧嘩」の仕組みを設計しましょう。まず、大事に至る怪我を避けるためにチームごとでセコンドとトレーナーをつけ、階級別の区分け、試合日程は回復期間と仕上げ期間を含めて中5日間以上と規約を整えましょう。ただし、場所がリングだと「喧嘩」とならないので、河原で安全な受け身が取れるようマットを敷いておくと良いかもしれません。そして勝敗は「失神」など危険なものではなく、審判を立てて背中をつけた状態で3カウント取られたら負けとするのが良いでしょう。
そして「ドラマ」に関しては構成作家を用意しましょう。彼の書く台本通りに因縁をつけ、決闘を進行することで武勇伝にドラマチックさを付与するのです。
過去のプロレスをお手本にして、「あいつは弱い」と罵って罵られた側が敵チームの練習場に乗り込む、などすると良いでしょう。
参考:長州 橋本 コラコラ問答(無加工版)
「抗争」の仕方について
喧嘩に並んで自らの武力を証明できる武勇伝となるのが「抗争」です。抗争では「〜対〜」と対戦した人数の規模がクローズアップされるので、参加者が多ければ多いほど効果的でしょう。
しかし、人数が増えた場合は怪我人など制御できないリスクが大幅に上がります。そのため、抗争は「運動会」にしましょう。
最終的な目的はあくまでも「武勇伝」なので、実際に喧嘩をする必要はありません。ただ嘘は付けないので、「抗争」という名目で運動会を実施するのです。
すると「〜対〜の抗争があって」や「武器にパイプも使って(リレーのバトン)」「一斉にわーッと駆け寄って戦う(綱引き)」など色々な言い回しが可能になります。決して「運動会」とは言わないことが条件です。
②統率力誇示型
統率力を誇示するためには「何人従えていたか?」が重要になります。
ここで1つクイズを出しましょう。10人の集団で、従えていた人数を最大化すると全員の合計で何人になるでしょうか?
答えは90人です。
そう、1人ずつ全員を従える役職を与えてやれば、10人全員が9人を従えていた実績を作ることができ、10×9=90人となる。画期的でしょう。
その要領で、暴走サロンでは「サークル制度」を導入します。
先ほど概要で説明した「隊長」と「隊員」の構造だけでなく、サークルという横断組織を作ることでそのぶん幹事の役職も増えると名目上「従える人数」がどんどん増えていくのです。
ただし、「映画サークル」を作ったとしても「映画好きを束ねて映画鑑賞をしていました」と言ったところで武勇伝にはなりません。怖くない、むしろ可愛い。
そのため移動手段をバイクで集団走行に限定しましょう。たとえみんなで仲睦まじく映画館に行ったとしても、集団でツーリングすれば「暴走行為」と言うことができて、結果的に「〜人引き連れて、バイクかっ飛ばしてましたよ」と武勇伝にすることが可能になります。
③事件性誇示型
最後に「事件性誇示型」をご紹介するわけですが、これはどうしても刑事責任を負うリスクが伴うため、リスクの大きさに段階を付けて松竹梅の3プランを考えてみました。お好みのプランを選んで武勇伝にしてください。
「松」
実際にサロン外での犯罪を行うプラン。ただし万引きや器物損壊にとどめ、最後には弁償するなどして「ごめんなさいで済む」範囲にはとどめておく。これを管理するために、外部で犯罪行為をする際には事前に管理組合に申請と誓約書への記入と押印が必要とする。もし規約に違反した場合には即刻退会を命じることになる。
「竹」
仲間内で犯罪行為をするプラン。コミュニティ内で喧嘩や合意の上での犯罪行為を行う。刑事事件にした後にはあらかじめ「示談」とすることを決めておき、互いの経歴に傷をつけないことを前提とする。そのため、もちろん事前の申請と誓約書へのサインは必要となる。
「梅」
最もリスクが低く、もはや犯罪にはいっさい手を染めないプラン。「警察に厄介になる」と言えればいいので、落し物をたくさんして出頭するだけに止める。そうすれば「警察沙汰」であり、「警察にご厄介になった」という実績になる。リスクを0で済ませたい方にはオススメ。
まとめ画像
このように、「暴走サロン」に入れば、バカバカしい喧嘩や迷惑な暴走行為をすることなく、安全に「武勇伝」を手に入れることができるのです。
宇梶さん、いかがでしょうか?一緒にやりませんか?
本提案は以上です。
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