校閲・推敲ツール「文賢」を無料トライアルした
最近、英日翻訳をしていて「もっと読みやすい日本語を書きたいなぁ」と思って調べていた時、「文賢」に出会った。英語の推敲ツールは種類が多い。WordのEditorは結構良いし、最近Grammarlyの有料版に切り替えたら英文のどこを変えればすっきりした文章になるか分かってきた。そこで同じく有料の推敲ツール「文賢」もきれいな日本語を書けるように色々提案してくれるかもと思い、ぜひとも試したいと思ったのだ。
しかし文賢のホームページには無料トライアルはないと書かれているし、レビュー記事を書いているブログを見てもトライアルはないようだ。諦めきれない僕はカスタマーサポートに問い合わせてみた。
「百聞は一見に如かず。初期価格があるので使ってみない限りは加入できない」みたいなことを言った。
すると1日以内に返信が届いて「実はお問い合わせいただいた方のためにトライアル版があるんです」的な内容だった。その後何度かやり取りがあって数日後の今日、ようやく実際に試すことができた。
※これは個人の感想なので、気になる方はこちらから問い合わせて無料トライアルをお願いしてみてください(アフィリエイトリンクではありません)。
思ったほどは良くなかった。
1日しか使っていないので、もしかするときちんと使い方を分かっていないのかもしれない。しかし文章をコピペするだけなのでその可能性は低い。
インターフェイスはシンプルですっきりしている。左側に4つのオプションがある。
1.文章表現
2.校閲支援
3.推敲支援
4.アドバイス
文章表現
まず、「文章表現」のタブは全然役に立たなかった。右側に「こんな表現ができますよ」という候補が表示されるのだが、品詞が違って直接置き換えることはできないからだ。色々な表現が学べるので表現力がアップするかもしれないというのは分かる。しかし、実際にその場で使えなければ読み飛ばしてしまう可能性が高い。そのため、結局今日は「文章表現」のタブを一応見ても、最終的には類語辞典で検索するという普段通りの作業となってしまった。
この記事の文章を文賢の文章表現タブで確認してみると、「可能性」の言い替えとして↓が表示された。
使えない候補ばかり。
※文章の内容や書き方、読者のターゲットによっては文章表現が役立つ場面もあるかもしれない。
校閲支援
次の「校閲支援」は誤字脱字はあまり見つからなかったのだが、1回だけ「穴を開ける」の「開けるは『空ける』の誤字かもしれませんよ」と表示された。不安だったためググって見るとYahoo知恵袋で同じような質問があり、最終的に「穴を開ける」でOKだという結論に至った。誤検知。残念。
推敲支援
「推敲支援」タブはまあまあ良かったと思う。
普段から一通り読み通した後にEnno(無料ツール)を使って見落としがないかなと再確認することが多いのだが、それと同じような部分に下線が表示された。例えば「『ということ』『することができる』を多用していますよ」とか「助詞が多いかもしれません」など。正直言って、Ennoの方が見やすいと思う。下線ではなく文字全体がマーカーっぽく表示されるし、緑・黄・赤で色分けしてあるのも分かりやすい。
Ennoでこの段落を確認するとこんな感じ↓
文賢だとこんな感じ↓
確かに文賢の方が下線部分が多い。その点では優秀だ。
下線部分を詳しく見てみよう。
1番の「ことが多いのだが」は「助詞を連続使用」しているのではない。1つ目の「が」は助詞だが、2つ目は逆接詞なのでミスではない。誤検出。
緑色の下線部は「接続助詞や接続詞のハイライト」であり、間違っているわけではない。「読み手を混乱させる可能性があるので念のため確認」すべきだそうだ。設定を変えて非表示にすることも可能。たしかに役に立つ場合もあるが、Grammarlyのように「こういう風に変えたらいいよ」みたいな具体例を表示してくれたらありがたい。
青の下線は以下の通り。
●「ひらがなの方が良いかも」(例えば・分かりやすい)
●「具体的に書いた方が良いかも」(それ)
●「冗長になりやすい」(ということ、することができる)
いずれも「かもしれないから確認してね」というものであり、「ここは間違っているよ」「こうすれば改善できるよ」などという自信を持った添削ではない。校閲や推敲を「支援」するツールなのだからそこまで期待してはいけないのかもしれない。
アドバイス
あまりにも影が薄いので書き忘れるところだった。アドバイスのタブはただのチェックリストのようだ。自分で確認していくだけ。チェックマークを入れられるのは良いと思うが、パーソナライズされていないのは残念だ。
他に気になる点
翻訳ソフトで作業し終わった時、文書をWordにエクスポートするのだが、それを校閲するために文賢にコピペしなければならないのが面倒。さらに、前にペーストした文章をワンクリックで消せないのも億劫。ペーストすると書式がすべて失われてしまう。修正箇所があったらブラウザとWordファイルを並べて表示して一つずつ直す必要がある。この点も改善していって欲しい。
ちなみに、GrammarlyはWordのアドオンがあるのでブラウザにペーストしなくていい。直接校閲・推敲できる。らくちん。また、同じような推敲箇所を見つけてくれたEnnoは無料でいくらでも使える。ケチな自分には向いているツールだ。
結論
有料ツールなので期待しすぎていたのかもしれない。文賢はGrammarlyと同レベルの価格なので同じくらい読みやすい文章になるかもと思っていたのだ。しかし自分で文章を読み直して(頭の中で声に出して)推敲した方が読みにくい部分とかも分かるし、文賢が拾ってくれないところにも気付く。残念ながら現時点ではお金を払う価値があるとは言えないと思った。
今後の改善を期待したい。
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