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「アルストロメリアとひまわりのような人」

オリンピックの表彰式で贈られるビクトリーブーケ。その中でも1998年の長野オリンピックで使われた花に、アルストロメリアがあります。

花言葉は「持続」「友情」「献身」です。冬の寒さにも耐え、鮮やかな色を咲かせるその花は、まるで努力を積み重ねてきたアスリートの姿のように思えます。

アルストロメリアは、私が今住んでいる地域の特産品でもあります。そして、かつての彼女が好きだった花でもあります。

彼女は、みんなから「ひまわりみたいだね」と言われていました。明るくて、周りまで元気にする存在でした。でも、本人は「かすみ草がいい」とよく言っていました。ひまわりのように目立つよりも、そっと寄り添うような花に惹かれていたのかもしれません。

そんな彼女には、日課がありました。家の近くの花屋に立ち寄ることです。特別な理由があるわけではなく、ただ花の様子を見たくなるのだと言っていました。そして、アルストロメリアを見つけると即座に買っていました。

「相性というか、直感で決めるんだよね」と笑いながら話していたのを覚えています。彼女にとって花は、飾るものではなく、選ぶ過程そのものが楽しみだったのかもしれません。

そんな彼女が、河津桜を好きだったのも印象的でした。春を告げるその桜を、雨の日でもわざわざ見に出かけるほど好きでした。花の儚さや移ろいに、何か感じるものがあったのでしょうか。

彼女からお土産をもらったことはありません。でも、思い出すのは、一緒に過ごした時間や何気ない会話です。アルストロメリアを見かけるたびに、ひまわりのようだった彼女の笑顔と、かすみ草のような静かな想いを思い出します。

花には、その人の姿や記憶を映す力があるのかもしれません。

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