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「母の最期の言葉」

「お前は意地悪だ」

人は、人生の最後にどのような言葉を残すのでしょうか。最期の瞬間には、思いがけない言葉が飛び出すこともあるのかもしれません。私にとって、それは母が病と闘っていたときに言われた「意地悪だ」という一言でした。

この言葉を聞いたとき、正直少し驚き、戸惑いもしました。なぜ母がそう言ったのか、その理由や背景は今もわかりません。しかし、不思議とその言葉が私の心に刺さることもなく、トラウマになることもありませんでした。私は自分の心が見た目以上に強く、深く守られていると感じています。

それでも、その一言について考えずにはいられません。母が言ったその言葉は、彼女の心の中に秘められていた何かを表していたのかもしれないし、長い闘病生活の中で出た一瞬の感情だったのかもしれません。あの時の母の表情は今も鮮明に覚えており、忘れることはできません。最期には、普段は抑えていた感情が表に出ることもありますが、その一言だけで母のすべてが表されているわけではないと思うのです。

これまでの日々を振り返ると、母が私に注いでくれた愛情や教えには、温かさと強さがたくさん詰まっていました。母は、やさしさや強さの意味を私に教えてくれた人です。一つの言葉で母の存在を定義することなどできない、と今では確信しています。

「人柄はピンチに出て、本性は土壇場に出る」という言葉の通り、母の本性があの一言に表れたのかもしれませんが、それも母が生きた証として、私は素直に受け止めています。母の言葉があったからこそ、自分の心の強さを再確認する機会を得たのだと思います。たとえその言葉の意味が完全にはわからなくても、母との思い出や学びを胸に抱き、これからも進んでいこうと思います。

そして、これからは自分の価値観を大切にしながら生きていきたいと考えていますが、決して家族との関係を軽んじるわけではありません。むしろ、家族とは大切なことを共有し、必要なときには相談することが、絆を深めるためにも大事だと感じています。

家族への尊重と自分らしく生きることは、私にとって両立すべき大切なことです。家族の支えや教えがあったからこそ今の私があり、これからもその絆を大切にしながら、母からもらった「心の強さ」を基盤にして歩んでいこうと思います。

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