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「星守る犬」: 日経新聞【春秋】2024.10.18

「家族に仕事。すべてを失った中年男が、最後に残った愛犬とともに旅に出る---。東日本大震災の年に公開された映画「星守る犬」の筋立てだ。主人公を演じたのが西田敏行さんだった。穏やかだが他人からの理解を拒む芯を持ち、旅先で死を迎える男を好演していた。
▶その西田さんが76歳で亡くなった。周りに愛される人気者やどこか憎めない権力者など、代表作を挙げればきりがない。「西遊記」の猪八戒役、「池中玄大80キロ」の写真家役などを覚えている方も多かろう。記者会見では取材者にも気遣い、巧みに笑いをとって場を和ませた。1947年、福島県に生まれた団塊世代だ。
▶俳優業と並行し、日本俳優連合という協同組合の理事長を務めた。多くの俳優が加入し、テレビ局などと交渉し俳優の権利を守るための団体だ。東日本大震災の後は被災地の復興支援に汗をかいた。福島県双葉町に建った地震と原子力災害の被害を後世に伝えるための施設では、記録映像のナレーションを引き受けている。
▶笑顔と気遣いの奥に芯を持つ。そんな俳優人生だったろうか。先日放映された民放テレビの県談番組では、往年のヒット曲「もしもピアノが弾けたなら」を最近歌う機会があって、と語っていた。「昔の歌という感覚はない。いつも今なんです」。年を重ね、なお仕事を楽しむ秘訣は何か。貴重な助言をもらった気がする。」
(日経新聞の春秋から)

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