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エンジニアの福利厚生について調査してみた 〜書籍購入補助編〜

株式会社Sales Navi でCTOをしておりますしゃもじ(@shamo_ken)です。

社内でエンジニアの福利厚生としてポピュラー(だよね?)である「書籍購入補助」が話題となったのですが、

「どのくらいの額を補助すればいいんだろう?」
「書籍購入補助で買ったものは組織のもの?個人のもの?」
「承認する書籍の基準は?」
「そもそもエンジニアだけの制度なの?」

……等々といった疑問が紛糾したので、他の企業さんはどうなっているんだろうなー、ということで今回は以下の2点に絞り調査しました。

①書籍購入補助制度(またはそれに類する制度)を導入している企業の割合
②書籍購入補助制度を導入している企業のうち、購入した書籍の所有権が社員にある企業の割合

結論だけ知りたい方は以下の目次より「結論」をご参照下さい。

調査方針

調査対象企業

調査対象企業については、プチ炎上したような気もしますが、「日本CTO協会、エンジニアが選ぶ開発者体験が良いイメージのある企業ランキング30を発表」から日本企業だけを抽出し、代わりにパッと思いついた(私の中で)知名度のある数社を加えた以下の30社を対象としました。(雑)

  1. 株式会社メルカリ

  2. LINE株式会社

  3. ヤフー株式会社

  4. 株式会社サイバーエージェント

  5. サイボウズ株式会社

  6. 株式会社SmartHR

  7. 株式会社ディー・エヌ・エー

  8. 株式会社ゆめみ

  9. クックパッド株式会社

  10. クラスメソッド株式会社

  11. Ubie株式会社

  12. freee株式会社

  13. 株式会社ZOZO

  14. 株式会社LayerX

  15. Sansan株式会社

  16. 株式会社マネーフォワード

  17. 株式会社リクルート

  18. 楽天グループ株式会社

  19. 株式会社ログラス

  20. エムスリー株式会社

  21. 株式会社はてな

  22. 株式会社10X

  23. 株式会社アンドパッド

  24. 合同会社DMM.com

  25. 株式会社MIXI

  26. atama plus株式会社

  27. STORES株式会社(旧:ヘイ株式会社)

  28. 株式会社ビットキー

  29. キャディ株式会社

  30. ファインディ株式会社

データ(Google Spread Sheet)

調査方法

書籍購入補助の制度の有無について

  • 書籍購入補助に関するPRを調査

    • 「${企業名} 書籍購入補助」「${企業名} 書籍購入手当」等でGoogle検索

    • 検索結果のうち、企業が管理しているページを参照

    • 書籍購入手当に関する記載があればデータシートの「参照」へリンクを追加

  • 福利厚生ページから調査

    • 「${企業名} 福利厚生」でGoogle 検索

    • 検索結果のうち、企業が管理しているページを参照

    • 書籍購入手当に関する記載をチェック

    • 書籍購入手当に関する記載があればデータシートの「参照」へリンクを追加

  • 上記で見つからなかった場合、「不明」とする
    (※私の調査能力が低い可能性があるため、「なし」とは断定しません。

書籍購入補助制度で購入した書籍の帰属先について

  • 前述の調査と同様のページに以下の記載のうちいずれかの文言があることを確認する

    • 書籍購入補助制度で購入した書籍は個人のものであることが明記されている

    • 電子書籍の購入が許可されている

  • 上記で見つからなかった場合、「不明」とする
    (※私の調査能力が(ry

調査結果

結論

忙しい方のためにまず結論から。

「①書籍購入補助制度(またはそれに類する制度)を導入している企業」については、今回調査した30社のうち43.4%にあたる13社が導入していました。(図1)

図1

また「②書籍購入補助制度を導入している企業のうち、購入した書籍の所有権が社員にある企業」については、先の13社のうち、46.2%にあたる6社となりました。(図2)

図2

開発者体験(Developer Experience)が優れている、と言われている企業であれば8割くらい導入されている制度なのかなー、と勝手に思っていたのですが、意外に半数にも満たないんですね。

ただ、今回調査対象とした企業は給与水準も高かったりするので、別に企業側が補助しなくても自身の知的好奇心を満たすための書籍の購入は厭わない社員が多いのかもしれません。
自己投資する人はどんな環境でもしますし、そういう人が最終的に辿り着く企業では別に補助しなくても勝手に書籍購入するくらいの生活の余力を手に入れてたりするんでしょうね。まるで卵と鶏とパラドックスのよう。

自己投資が先か、書籍購入補助が先か🤔

調査結果の修正依頼について

調査結果のデータは公開してますので、もし「いや、その企業さん書籍購入補助ありますよ(ありませんよ)」とか「帰属先は個人ですよ(組織ですよ)」といった情報がああればコメント欄やTwitter DM等でお知らせいただければと思います。

「うちも足してよ!」に関しては、書籍購入補助がある企業ばかりが足されてしまい、調査結果が変に逆転してしまう気がするので、参考程度にとどめさせて下さい。

余談1)感銘を受けた企業

調査した中で制度に感銘を受けた企業様がありましたので、紹介しようと思います。

atama plus株式会社

atama plusさんは以下の記事で書籍購入補助に関するスタンスを明確にしています。

atama plusでは、業務に必要なデバイスや書籍などは、各自が判断して自由に購入することができます。承認手続きは不要です*。このルールは、「社員を子ども扱いしたくない」「私たちの仲間なら、必要性の判断くらい自分でできるだろう」という仲間への信頼から生まれており、メンバーが150名を超えた現在も変わっていません。

https://recruiting.atama.plus/career/culture/

痺れますねー。
企業が率先して社員を信頼することで、いわゆる「返報性の原理」が働き、制度を悪用する人が出てこないんでしょうね。

「この制度悪用するやつなんている?」
「いねぇよなぁ!!?」(画像略)

…というお気持ちになりました。

株式会社ゆめみ

独特な制度設計で何かと話題のゆめみさん、やっぱり書籍購入補助についても独特でした。

特に以下の文言は中長期的な視点があっていいですね。

- 会社が新しいサービスや事業を展開していくには、メンバーが現在の業務に必要な学習だけをしていては不十分である
- つまり、メンバーは今の業務には直結しないけれども、将来の業務に繋がるような学習を行う必要がある
- したがって、会社が成長するためには、メンバーの成長が必要であり、それには学びに関する最大限の支援を行う必要がある

https://notion.yumemi.co.jp/1797f8851ecc478db779696269eee8b1#block-6cba801a611d436da3230a6783fe7683

「積読し放題規定」というところについては、積読を悪としない姿勢については素晴らしいな、と感じました。
まぁ本当に1ページ読まない書籍とかあると辛いですけど笑

余談2)おまけ

弊社はフルリモートのため、オフィスの図書コーナーのようなものが作れません。この場合、購入した書籍の所有権が会社に帰属するとなると、退職時には書籍を全て会社に返却しなければなくなるのかなー、などと考えていました。

このことについてどう思うか妻に意見を伺うと、
「別れる時に今までのデート代の返納やプレゼントの返却を求める器の小さい元彼みたいだね」

という辛辣な例えが返ってきて思わず笑ってしまいました。

おしまい



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