昏睡~読書記録5~
元大阪大学腫瘍外科医・霧村悠康「摘出」の続編となる。
前作にて、高木教授は大阪にある国立O大学を追われ、高血圧の症状から入院となった。
助教授である神崎は第三外科全体を指示している実質教授の立場である。
教授空席の中、行われた教授戦。
神崎が違う患者の癌細胞を操作し、医学部長や患者に密告した自作自演であることを見抜いていた松本医学部長としては神崎に教授をさせたくはない。
だが、神崎は教授戦を勝ち抜き、堂々と教授となる。何しろ、ハッキリとした捏造の証拠はないのだから。
大学を追われた高木は、知り合いのつてで他の病院に移った。そんな折、愛人である陽子が肺がんで手術したという。陽子は手術中、脳梗塞を起こし殆どの脳組織が破壊され、意識不明となる。高木は献身的に陽子の世話をする。そして、疲れや高血圧などあいまって陽子のベッドの淵で亡くなった。
陽子も意識は戻らず、ほぼ同時にであった。
教授となった神崎は、松本医学部長が頼んだ人物の策略で「未成年との淫行」が週刊誌に報じられ、スキャンダルとなる。これは仕組まれたもので、飲み屋では20歳と言ってた女性が週刊誌では、まだ10代、被害者と言ったのであった。
そして、車を運転中、事故を起こし意識不明に。
前作で手術のミスを犯し、大学病院を辞めた研修医の本木は故郷の奈良に帰り、インターネットで医師を募集している病院に再就職をした。その時に患者として来た20歳の女子大生と恋に落ち、同棲を始める。彼女は末期の進行性胃がん。1年と持たないであろう。。。それでも。。。
彼女は最期まで本木と共にいた。
そんな時に、O大学病院で本木のミスから両乳房を失った患者・森田広子が病院に患者としてやってくる。大学病院のドロドロとした様にイヤになりながらも、最後には、森田広子と本木のやり取りに救いがあった書であった。
西田幾多郎
本木が訪れた京都の「哲学の道」にある石碑に書かれていた言葉だ。
西田幾多郎は明治3年~昭和20年。日本を代表する哲学者で京都大学名誉教授である。