アンと幸福 坂木司~読書記録350~
2023年10月26日 坂木司による「和菓子のアン」シリーズの最新作。
多分、最後だろう。
図書館に予約すると読めるのは1年後?か!とも思ったもので、初めてAmazonで先行予約というものを利用してみた。
イヤイヤ。これは大成功。
何故なら、図書館には入荷した様子がないのだ。
もう!早く続きが読みたくて、届いた翌日は仕事を休み朝からツイキャスを。
【累計100万部突破!「和菓子のアン」シリーズ3年ぶりの最新作、どうぞ召し上がれ。】
「みつ屋」以外にも目が届くようになってきた今日このごろ。別れと出会いと「なんで?」を乗り越えて、アンちゃんも新しい扉を開きます。東京デパートの食品売り場から、たくさんのはじめての場所へ……。甘酸っぱい謎と和菓子の世界が、あなたをお待ちしています。
——人の転機は十人十色。甘いお菓子で一息いれて、さあ進みましょう。
江戸と長崎
秋ふかし
掌の上
はしりとなごり
お菓子の神さま
湯気と幸福
何を今更?なのだが、主要登場人物の名前が皆、樹に関連するものに気づいた。
主人公:梅本、主人公の働く職場のスタッフ:椿、立花、桜井。
金沢出身で、同じデパート勤務の主人公と近い人:柏木。
そして、椿店長の異動に伴い、新たに店長になった藤代。
今回、最終回にて主人公のアン、椿店長、立花さんが向かうは和歌山県海南市にある橘本神社。お菓子の神社として知られているが、日本にある柑橘類の原種がこの神社にはあるのだ。
4月第1日曜日に、お菓子の祭が行われ、この祭りに主人公らは参加している。
立花さんは橘さんだったのだ。
お菓子の神さまを祀る神社に深い名前。作者の意図がここにきてわかるという、なんとも憎い構成だ。
こちらは、主人公が宿泊した和歌山県白浜のホテルの部屋のお茶うけにあったという設定の商品だ。
作者が実際に泊まったホテルなのかはわからない。
だが、表現がとにかく美味しそう!の一言。
今まで、周りの良い人たちに支えられてアルバイトをしてきたアンちゃん。
椿店長の代わりに異動になった藤代店長も実に良い人だ。
藤代店長が、アンちゃんをアルバイトから正社員にと必死に押す理由。
それは、かつての自分自身の職種での体験だったのだ。
介護職員をしていたが、結婚し子供が出来た時に、「この給料では産休、育児休暇中の妻と子供を養えない」と転職するのだ。
仕事内容に不満があるとかではなく、単純にこの給与では暮らしていけない。それだけなのだ。
淡々と語られているが、問題提起だなと思った。
模索し、正社員になったアンちゃん。
大学生でアルバイト仲間の桜井さんは就活ということで、アルバイトを辞めるという。
アンちゃんの友達、乙女の立花さんも、自分自身の向上の為の道をと。
これは、1人の女性が少女から成長していく過程なのだなと思った。