暮らしドラマチックに心をつくして~読書記録127~
本書は、作家・森村桂さんが1987年~1988年に地方紙「信濃毎日新聞」に連載されていたものを編集したものである。
三宅一郎さんが日本ビクターを退職し、脱サラして1985年に始めた軽井沢のティールーム「アリスの丘」
このエッセイでは、軽井沢での楽しい日々を描いている。
三宅一郎さんは、桂さんにとっては5歳年下と言いつつ、父親代わりなんだな、桂さんは「恋愛至上主義」とか「リンゴの片割れ」など言わず、初めから、この真面目な三宅さんと生活していたら、神経を病まずに済んだのではないかと思えてならない。
森村桂さんと言えば、「ケーキ!」
しかも、甘くない物。
本当にケーキが好きなんだな、と、その情熱に感動するとともに、今はもう食べることは出来ない「幸せのケーキ」。
残念に思うのだった。
1つ、興味深い話があった。
ティールームで出す紅茶である。
桂さんが求める「まろやかな紅茶」は、イギリスが殆ど抑えてしまい、日本ではどんなにお金を出しても手に入らない。
そこで、アリスの丘では、リプトンティーバッグの封を切り、バラの花と合わせて出していた。。
ある日、あれ?味が違う?
スタッフも同じ感想。
裏にあるUがJとなっていたのだ。
1980年代。
インドの諸々の事情で、同じ紅茶を出荷出来なくなったようだ。イギリスやアメリカなどの国と違う、日本やらアジア向けの紅茶。
アメリカでブレンドしたもののようだった。
日本向けということのJだったようだ。
21世紀の現在、その現物を見つけることは出来ず)
それが出ていたようだ。
今では日本人の舌も変化し、お茶やコーヒーの違いがわかる人が増えた、
グローバル化の一端かもしれない。
それにしても、小麦粉の違い、茶葉の違い。
それらを理解する桂さんて、魔法の舌を持っていたのではなかろうか。