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アンと愛情~読書記録336~

坂木司著 和菓子のアンシリーズの第3弾。


東京百貨店地下食品フロアにある、和菓子店「みつ屋」の売場。高校を卒業してすぐ、梅本杏子(うめもと きょうこ・通称アンちゃん)がここでアルバイトをし始めて、2年が過ぎようとしています。
ファッションセンス以外は頼りがいのある椿店長に、誰よりも〝乙女〟な男性店員・立花さん、元ヤンにして女子大生にして人妻の桜井さんとの楽しく働きがいのある店舗で、アンちゃんも少しずつ大人になってきました。洋菓子店「K」の柏木さんや、お酒売り場担当の楠田さん、化粧品フロアのスタッフ・通称魔女、立花さんの師匠で「河田屋」の店主・松本さんなどなど、親しく話せる相手も増えてきて、毎日の業務にやりがいを感じる日々です。
ずっとこのまま、楽しく過ごしていきたい。そう思うアンちゃんですが、ゆっくりとではあっても、年月は流れていくわけで。
まもなく成人式を迎えるアンちゃん。そろそろ振り袖を選ばなければいけないんだけど、容姿に対するコンプレックスもあって、どうも気が向かない。売場にやってきた他店からの応援スタッフは、自分と同い年なのにやる気も売る気も段違い。お客さんから持ち込まれる相談事も、いつも以上に難易度が高く、気が焦るばかり。そもそも、自分は将来、どうなっていきたいんだっけ……。
身の回りにも遠い世界にも、どうしていいかわからないことばかり。アンちゃんが甘いお菓子の力を借りて、謎と未来に立ち向かう、やさしくさわやかな青春ミステリー。


坂木司はミステリー作家という肩書であるから、もちろんこの作品もちょっとしたミステリーなのだが、何か深刻な事件が起こるという話ではない。
日常の、職場で起きる事からの主人公の前向きな姿勢と成長が読んでいるこちらまで嬉しくなってしまう。

今回も楽しく読んだのだが、作者の博識、日本文化と和菓子の融合の素晴らしさを教えて頂いた。

デパートでのバレンタイン商戦の話に登場してきたのが、京都の須賀神社での節分行事だ。
昔は字を書けなかった人が多かったので、貴族が変装して恋文を代筆したのだとか。

節分の時にしか食べられない和菓子なのだとか。

他にも多くの和菓子が出て来る。
ついつい、出先で買ってきた最中をつまみながら、楽天市場で何を買おうかとか考えながら、このnoteを書いている。

恋愛には興味なさそうな主人公だが、その性格の良さから実はモテるんじゃないかと思う。
上司である立花さん。同じデパート勤務の他店の柏木さん。
主人公を密かに想っていそうだ。
さてさて、ハッピーエンドはどうなるのか。
来月に出る最新刊がシリーズ最後らしい。


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