0葬 あっさり死ぬ~読書記録164~
2014年に出版された宗教学者・島田裕巳先生の本。
0葬とは、簡単に言ってしまうと、火葬場において、焼かれたお骨を引き取らない事。
今、人が死んだら残された遺族はどのくらいのお金が必要か?
葬儀会社に支払う費用。お寺への戒名。お墓にかかる費用。
私たちは、誰でも墓を持つのが当たり前と思っていないだろうか。
江戸時代辺りまで、一般人は村の共同墓地に土葬であり、個人の墓などなかった。もしも、お詣りしたいなら、遺体を埋めた場所とは別の所に目印となるものを置く。それは「詣り墓」と呼ぶのだ。
歴史的に有名な人の墓は大体そうであるようだ。
島田裕巳先生は、葬送の自由をすすめる会会長を当時されていたそうで、海に散骨。山に撒く。など、骨を粉にして墓を作らない形を勧められたのだ。
これは大いに評価すべきと思う。
だいたい、日本は土地が狭いのだ。特に都心は。東京、横浜辺りの公営の墓地はもう空きがない。
吉田茂元首相の墓は東京の青山霊園にあったが、そこはかなり高いのだ。
(青山霊園は、都立霊園のなかでもっとも区画費用が高い霊園です。 もちろん区画の広さなどによって多少の差はありますが、使用料が462万8,800円~と非常に高く、ほかの墓地とは一線を画しています。 このため、墓地に対してお金をかけられる人でなければなかなか利用が難しいという事情があります。)
墓石は含まれていない。
元は、麻生財閥のものであった為、価格の安い横浜市営墓地に移転したのだ。
目の前が吉田茂の菩提寺の浄土宗・光明寺でもある。
さてさて、光明寺の前にはいくつか石材店がある。正確に言うと、横浜市営墓地の前だが。
そこで墓石の値段を調べてきた。
ううううむ。
高齢化社会となり、介護費用も捻出せねばならぬ。老人ホームにも入るし、などなど定年後にこんなにお金がかかるのかーーーー。
昭和の時代は、寿命=健康寿命のようなものであったから、医療費、介護費にはそれほどお金はかからず。墓石にお金をかけられたかもしれない。
けれども、今はムリだ。
それゆえ、火葬場から引き取ったお骨をずっと自宅に置いている、などの家もあるのだ。
やはり、島田裕巳先生が提案する火葬場で処分してもらう。これでいいのではないか?と思う。
尚、島田裕巳先生がこのような考えに行きついたのは、山あり谷ありの人生だったからだそうだ。
ヤマギシ会(村上春樹の小説に出てきたような。。。)に一時期いたこと、オウム真理教の件で、大学教授の職を退職に追い込まれたこと。などなど。
それを言うと、私も同じかもしれない。
真言宗豊山派の檀家であったのに、自分の運転ミスで母親を事故死させてしまったゆえに、同僚の妻が熱心に寄進する日蓮宗の派閥のカルト宗教にすがった父。
同じく、私が死ぬはずだったのに祖母が身代わりになった罪の意識からキリスト教徒になるも、カトリックからもプロテスタントからも破門をくらった私。
自分も0葬、それがダメなら海に散骨でと思っている。