村岡花子著 ハリエット・ストー伝記 ~読書記録153~
原書は昭和30年に刊行された村岡花子が書いたストウ夫人の伝記だ。
ストウ夫人と言えば、「アンクルトムの小屋」が世界各国で翻訳されて有名な作家である。本書は、その作品が世に出るまでの出来事を丁寧に描いている。
私も含め、世間一般が知らなかった事を知り、感謝の1冊でもある。
ハリエット・ストウは、父親、夫と共に牧師なのだ。
日本や韓国などでは、「なんちゃって牧師」なんかは、かなり見受ける。
宗教法人法に守られ、住宅は教会の物だし、光熱費は教会持ちが日本の牧師一家の多く。
韓国は。。。(以下自粛)
けれども、ストウ夫人の育った環境はそうではないのだ。
真剣に「愛と平和」「平等」を考える環境だ。
ストウ夫人が生まれた頃のアメリカでは当たり前のようにアフリカから連行してきた黒人を奴隷として売買していた。
人と言うよりも、牛や馬以下の存在であったのだ。
黒人の自由を奪う為に、逃亡奴隷法なるものさえ出来たのだった。
逃亡奴隷法は、1793年と1850年にアメリカ合衆国議会で成立した複数の法律であり、1つの州から他の州へあるいは公有の領土へ逃亡した奴隷の返還を規定するものである。
ストウ夫人は、多くの黒人奴隷から話を聞き、苦しみに共感し、ベストセラーとなった「アンクルトムの小屋」を世にだす。
これが元となり、アメリカ南北戦争が起きたとも言われている。
government of the people, by the people, for the people
人民の,人民による,人民のための政治(◇リンカーンの演説の一節)
あまりにも有名であろう。
南北戦争が終わり、奴隷解放宣言が出されたのちには、夫婦でアメリカ南部
フロリダに移り、黒人の為に学校を開いた。
ただ、自由になり終わり、ではなく、学ぶ機会も与えたのであった。
私の勝手な感想だが、この本は信仰のある村岡花子さんが書かれたからこそ、だと思う。
アンクルトムの小屋を執筆するに当たり、次のみ言葉がハリエット・ストウには与えられたそうなのだ。
『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』マタイによる福音書 25:40
(村岡花子さんは文語訳聖書を引用されていたが新共同訳にした)
アメリカ人(白人)がしていることは、一体なんなのか?
南北戦争で多くの白人の生命が亡くなった。それ以上に、白人が黒人奴隷にした事は?その罪を想うハリエット。
尚、ハリエットの他の作品は日本語訳ではない。
残念だ。
そして、村岡花子訳のアンクルトムの小屋は今は国立国会図書館にしかないようだ。
面白いことに、創価学会系の出版社から刊行されている。