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代理店商法

昨日読んだ森村桂さんの「結婚志願」の「アメリカ会社のエリート社員」の章では、アメリカ、ブリタニカの百科事典を販売する1歳年下の友人(男性)の話が書かれていた。
北海道出身で、大学時代はアイスホッケーだか何かの有名な選手だったようだ。
昔のスポーツ選手に観られるように、純粋な世間知らずというか。大学を卒業する時にも、なかなか就職が決まらず、誘いに乗ったようだ。

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その後、講談社、角川文庫などから版を重ねたが元々は昭和42年に書き下ろしの作品であり、話の内容は昭和40年頃のことだ。
いわゆる代理店商法だろう。
全員が社長の肩書き。契約が取れたら25000円。昭和40年頃の1万円は今で言うと5万円くらいの価値(物価も最低賃金も上がっている)。だが、交通費や他色々と自腹という。
出社すると、ピンク電話にコインを入れて電話を掛けまくる、もちろん、自腹。

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ピンク電話など、平成生まれの方は知らないであろう。
昔は電電公社にお金が入る公衆電話以外に、電話機持ち主にお金が入るピンク電話があったのだ。
使い方は公衆電話と同じ。
私の母の実家にもあり、当時、電話が開通していない村の人たちが親戚などに掛ける為、よく来ていた。
森村桂さんは、友人の男性に、「それ、辞めた方がいい。会社の資産であるピンク電話に何割かお金が入るわ」など助言していた。
正社員の経験もあった森村桂さんであるから、必要経費を自分持ちで「全員が社長」のようなシステムはおかしい、と思ったのであろう。
もちろん、契約が取れないと無収入。
気持ち良い誘いに乗るが、すぐに殆どの人は辞めるらしい。
その友人は結局辞めて、故郷の北海道に帰ってしまったのだ。

それで想い出したのだが、昭和40年代、私の家にもブリタニカ百科事典はあった。
父の6歳下の弟が居を構えた家の隣に住む方が代理店をしていたのだ。
祖父母が生きていた頃で、「息子が世話になっているから」と高いが購入。
居間で飾り物となり、殆ど誰も開かない状態であった。
ま。百科事典などはそのようなものだろう。
私の祖母は、他の人が無視して追い返すような人からも「可哀そうだ」と買ってしまうようなところがあるので、私はそれが似てしまったのだ。つまり、騙されやすい。
他にも多くの会社があるが、代理店商法というのは、知り合いを頼りにが多い。
その叔父の隣家の方は、その後は日本生命の代理店になり、その時も我が家を訪ねてきた。
その方がいなかったら、父が事故で急死した時の保険がなかったわけで、母も私も生活に困ったろうな、とは思う。
しかし、日本生命本社は、入ってすぐの死亡には、「ちっ!」という感じだったようだが。ま。知り合いの男性が困るわけではないので、大きい会社などどうでもいいのだ。

今回の給付金詐欺でも思ったが。
得をするのはトップ。
末端は、知らないうちに罪を犯していた、という、ある種、被害者だ。
昭和40年頃、桂さんの友人男性も、月に100万円稼げる!成績が良かったら教育係!などの甘い言葉に夢を見た。
昔から、詐欺師は存在するのだ。

私が大好きな、荒木飛呂彦先生の、魔少年ビーティーにも、詐欺師って、こんなんじゃないかな?という話がある。
誰か詐欺師が、価値のない貝殻や石などを言葉巧みに貨幣に。それからの貨幣制度。

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初めに詐欺商法を考え付く人と言うのは、私達一般人とは賢さのレベルが違うのかもしれない。



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