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余命~読書記録67~

2015年に発行された五木寛之先生のエッセイである。

余命とは、自分に残された時間の事。
現在の未曽有の高齢化社会において、どう考えたらよいのか。
この書は、それを考えさせてくれる。
100歳まで寿命が伸びたとしても、老化は訪れるし、死はやはり訪れるのだ。
人にはそれぞれの生き方がある。

今の日本人には宗教観というものがなく、来世とか浄土とかいう感覚はない。ただ、死んだら、物質的な肉体がなくなるという感覚である。
宗教は死後のためだけにあるのではない。死ぬまでの人生を、生きている現在を活性化するためではないか。
アメリカを代表する哲学者であり、心理学者のウイリアム・ジェームスは
「宗教はシック・マインドのためにある」と言った。


現代日本の死について考える時に「延命治療」は避けては考えられない。本人が望まなくとも、家族が人工呼吸器を望んだりする。食べられなくなったら、胃ろう。点滴で水分補給も出来る。
その裏には、産業と化した医療の実態もある。日本での医療費の多くは終末期医療に使われている。
果たして、人工的に生かされての長寿が幸せなのか?
「延命治療をしないでくれ」
と書いたとしても、家族には無意味であったりもする。
多少のお金はかかっても、公正証書で残した方がよい時代かもしれない。

そして、死に対するプランニングを勧められている。
何歳くらいで死ぬ。という事だ。80歳で亡くなるとしたら、
「ああ、この桜はあと3回見られるな」
などの想いにふけるのだ。

いずれにせよ私たちは、この生というものが限りあるものであることも、はっきりと自覚する必要があるのではないでしょうか。
限られた時間を意識することから、第三の人生(定年後)をスタートするしかないのです。

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