積聚治療の”なぜ”(3)
積聚会副会長 加藤 稔
『積聚会通信』No.4 1998年1月号 掲載
2022年10月 筆者加筆修正
脈の診断として、積聚治療では六部定位脈を基本としている。脈の異常性を把握し、脈の調整を行ない、脈の確認を行う。
じつに簡単で解るような感じはする。しかし、難しい。脈の異常性を把握するには、一般に虚実の要素として、浮・沈、強・弱、太・細、遅・数、を基に分けている。
このうち、太・細、ということをどのように分けたらいいのか?
Aさん、Bさん2人の身長と体重が同じとする。
Aさんは太い、Bさんは細いと判断したとする。
Aさんは、運動も歩くことも少なく車での移動が多い。
Bさんは、よく歩き、週2~3回は運動をする。
太い脈のときが、良い場合と悪い場合が考えられるし、細い脈のときが、良い場合と悪い場合が考えられる。2人の普段の脈はどうであったのか?季節は?そのうえで、AさんBさんにとっては、良いのか悪いのか判断しなければならない。
こんなことを考えると脈とは実にややこしい。時には、反関の脈の患者もいる。
このように見てくるとき患者の一人ひとりの基準が違うということを考えなければならない。
脈の調整をおこなうことで、患者の症状をどれだけ軽減できるかというテーマも意味がありそうである。