航空写真から始まる旅路
人はなぜ旅をするのだろうか。
明確な目的を持って旅をする人もいれば、宛もなく彷徨うように旅をする人もいる。
目的を持っている人にしたってその内容は千差万別。
有名な観光地に行きたい。
美味しいグルメが食べたい。
綺麗な写真が撮りたい。
誰も知らない場所に行きたい。
旅をする人の数だけ理由があるだろう。いや、寧ろ旅をする人の数以上に理由の方が多いかもしれない。1つではなく複数の理由がある事の方がおそらく多いに違いない。
では、僕はなぜ旅をしているのだろうか。
ざっくり言ってしまえばそれはきっと「好奇心」のひとことで片付いてしまうし、大きく捉えるのであればそれが最も適当だと思う。
では、もう少し具に見るとどうだろうか。
いろんな景色を写真に収めたい。
食べたことのない料理を食べてみたい。
世界各地のビールやワインを飲んでみたい。
地図で見て気になっていた地形や場所をこの目で見たい。
全て書き記すときりがない程にいろいろと湧いてくる。旅をする前から思っていた事もあれば、旅をする中で新たに思ったこともある。正しく「湧いてくる」といった具合だ。
と、こんな感じで風呂敷を広げに広げたところで、収拾がつかなくなる事は火を見るよりも明らかなので、今回は自転車旅ならではの話を書こうと思う。
航空写真は楽しいの宝庫だ
先述したように僕の旅の主目的として「地図を見て気になっていた地形や場所をこの目で見たい」というのがある。
自転車で旅をする上で、長期的なルートの計画はもちろん、日々どこまで行くのかを考えるときにも地図は欠かせない。
ひと昔前であれば紙の地図が主流だったものが、今ではGoogleMapをはじめとしたWebマップに取って代わられている。自転車旅人の多くはGoogleMapだけでなくオフラインのマップもよく使っている…なんて話はどうでもいい。
紙地図の時代には紙ならではのワクワク感や楽しみがあったが、Webマップの時代にはWebマップだからこその楽しみ方があると思っている。それは航空写真で地図を見ることができるという点だ。紙の地図でも等高線や地図記号などから地形を推測することは出来るし、登山も好きな人間としてはそれもそれで好きなのだが。航空写真だからこそ「一目見ただけで面白そう」を発見できるのがとても楽しいのだ。
明らかに周囲と色が違う。
明らかに湖の中を道が通っている。
明らかに白い。
明らかにデカい山に囲まれている。
明らかに景色が良さそう。
そんな事を俯瞰して見られるのだ。
それを面白くないという人もいるだろう。「知らずに行く良さが…」などの意見もよく分かる。
とはいえ、いくら航空写真で見られるからといってもやはり、その景色の中に身を置くこととは訳が違う。現地へと赴いて地図の中にあった景色へ入って行った時の、ネット空間と現実世界が繋がる感覚もなんとも言い難い。
時にはがっかりすることもある。
時には想像を超えてくることもある。
それが面白いのだ。
何でもネットで見られる時代だけれども、やはり現地でしか見られない、感じられない事は山程あるのだ。
それにこの世の全てを知り尽くしている人なんて居ないのだから、知らずにいたが故に行けなかったなんてことも起こりうる。後で知った時の虚しさといったらありゃしない。
だから僕は敢えて、Webマップを見てから現地に赴く。それが僕のこだわり。
航空写真から選んだ旅路
ナスカの地上絵を分断して走っている国道があること(ナスカの地上絵/ペルー)
真っ白な塩湖を突っ切る道があるということ(サリーナス・グランデス/アルゼンチン)
世界で一番標高の高い火山を正面に見ながら走る道があること(オホス・デル・サラード/チリ)
砂漠の直ぐ側に世界最大級の内陸デルタ地帯があること(オカバンゴ・デルタ/ボツワナ)
僕はそのすべてを航空写真で知り、実際に足を運んだ。そして、その結果が素晴らしい体験であった事は言うまでもない。
冒頭で「自転車旅ならでは」と記したものの、それは自転車旅が地形を含めた地図との親和性が高い為、特筆したにすぎない。
バックパッカーだろうが短期旅行者だろうが誰にだって真似の出来るスタイルである。
GoogleMapで地図の種類から「航空写真」を選択するだけで誰でも見ることが出来る。
まるで鳥が飛ぶような目線で、近づいて見ることも広く俯瞰して見ることもできる。どんな理由だっていい。なぜこんな色をしているんだろう。そんな些細な理由で十分。新しい世界を知るための鍵が航空写真には散りばめられている。
航空写真をきっかけに始まる旅、あなたもしてみませんか?
※初稿では「航空写真」ではなく「衛星画像」と表記していましたが誤りでしたので訂正しました。