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[日常] Waitangi Day - ニュージーランド建国記念日とその歴史 -
ニュージーランドにいるのだから、少しはニュージーランドの祝日について知っておこう!ということで、2月6日Waitangi Day(ワイタンギ デイ)はニュージーランドの建国記念日です!
1840年2月6日、この日はニュージーランドの歴史において非常に重要な意味を持つワイタンギ条約(Treaty of Waitangi)がニュージーランドの先住民であるマオリ族の首長たちと英国の君主の間で締結・調印されたことを記念して制定されました。
ワイタンギ条約とは?
ワイタンギ条約は、ニュージーランドの近代国家として形成される礎となった条約で、マオリ族がイギリス国王に主権を譲渡する、マオリ族の権利を保護する、マオリ族はイギリス国民としての権利を享受するなどの内容が定められています。
当時、ニュージーランドにはヨーロッパからの移民が増えており、土地の所有権をめぐる混乱や紛争が起こっていました。この状況を安定させるために、イギリス政府はニュージーランドを正式に植民地化する方針を決め、マオリとの間で条約を結ぶことになったのです。
しかし、ワイタンギ条約には、英語版とマオリ語版があり、両者の間には解釈の違いがありました。特に「主権(Sovereignty)」と「統治権(Kawanatanga)」の訳し方に問題があり、マオリ側は土地の権利を完全に失うとは考えていませんでした。このため、後の世代にわたり、条約の解釈や履行をめぐる議論が続くことになります。
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https://teara.govt.nz/en/te-tiriti-o-waitangi-the-treaty-of-waitangi/print
マオリ民族とは?
マオリはニュージーランドの先住民族で、ポリネシア系の人々です。彼らの祖先は13世紀頃にカヌーでニュージーランドに渡り、独自の文化や言語、社会制度を築きました。
マオリ文化は現在もニュージーランドの社会に深く根付いており、次のような特徴があります。
・テ・レオ・マオリ(Te Reo Maori):マオリ語はニュージーランドの公用語の一つであり、学校や公共の場でも使われている。
・ハカ(Haka):伝統的なマオリの踊りで、特にラグビーの「オールブラックス」の試合前のパフォーマンスで有名ですが、全て同じ踊りではなくシチュエーションによって決まった型があるのだそう。
・ホンギ(Hongi):マオリの伝統的な挨拶で、お互いの額と鼻を軽く触れ合わせることで、相手と精神的なつながりを築くのだそう。
ワイタンギデーは単なる祝日ではなく、ワイタンギ条約をめぐる歴史的な問題について考える機会でもあります。過去には抗議活動が行われたこともあり、今でもマオリの権利や土地問題についての議論が続いています。
ワイタンギ条約と日本国憲法の共通点
ワイタンギ条約における翻訳の問題は、我が国日本の日本国憲法の制定過程と共通する部分があるのではないでしょうか?
日本国憲法は、第二次世界大戦後にGHQ (連合国軍最高司令官総司令部)の主導で作成されました、その原案は英語で書かれ、短期間で3日本語に翻訳されました。ワイタンギ条約と同じように、翻訳の過程で本来の意味が十分に理解されず、のちに異なる解釈を生む要因になったとも考えられます。
例えば、ワイタンギ条約では「Sovereignty (主権)」がマオリ語で「Kawanatanga (統治権)」と訳され、マオリ側は完全な主権を手放したとは認識していませんでした。一方、日本国憲法では「War potential (戦力)」や「Right to belligerency (交戦権)」などの用語が後の憲法解釈論争を生むことになりました。
ただし、マオリの人々がワイタンギ条約によって土地を奪われ、社会的な不利益を被ったのに対して、日本は戦後の国際情勢の中で独立を回復し、自国で憲法改正の議論を進める余地がありました。
それでもある国や民族が、自らの意図しない形で歴史的な文書を受け入れざるを得なかったという点では、共感できる部分があります。ワイタンギ条約の問題は、マオリの人々にとって現在も続く課題であり、日本国憲法の解釈をめぐる問題もまた、今もなお続いています。
さいごに
ワイタンギデーは、ニュージーランドの歴史と文化を理解する上で欠かせない日です。ワイタンギ条約はニュージーランドの成立に大きな影響を与えましたが、解釈の違いや植民地化の影響から、現在も多くの議論が続いています。歴史的な文書の解釈が国家や民族の未来を左右するという点で、マオリの人々の苦悩に同情する人も少なくありません。
ニュージーランドに来る人は、この国の歴史やマオリ文化を尊重し、ワイタンギデーの意義を知ることで、より深くニュージーランドを理解できるでしょう!
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