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【新橋の極上カレー】The KARIは、今日も淡々と、変わらぬ味を届ける。【ランチ・ひとりOK】

”カレーを作り続ける人生”を選んだ勇気への感謝を、ここに書きたいと思います。
少々長いですが、カレーを愛するそこのあなた、東京の飲食店を愛するそこのあなた、毎日一生懸命に働くあなた、に是非読んでほしいです。お付き合いいただけますと、嬉しいです。

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私が最初KARIに出会ったのは、転職をして、新橋にある今の会社に入り2ヶ月が経った2018年9月のことだ。まだその頃は新橋にきたばかりで、会社の周辺で様々なランチができることが楽しく、新規開拓に勤しんでいた。といっても誰かを連れ添うでもなく、一人ランチの方が気が楽で、その日もあまり会社の人がいかないエリアを物色していた。

見覚えのある景色のさらに奥まで進むと、人が並んでいるお店が見えた。きっと新橋サラリーマンの好きなボリュームランチだろう、とあまり期待せずに近くまで行って覗いてみると、そこは想像とは違ったやや地味な外見のカレー屋さんだった。

回転はとても良いらしく、テンポよく人が出たり入ったりしている。並んでまで食べるということは、よほど美味しいのだろう。しかしその日はカレーの気分ではなかったので、いつか必ず行ってみよう…と別の店に行ってしまった。

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その後、待ち望んでいた「今日はカレーの気分だ!」という日が訪れた。お昼の鐘がなると同時に、財布と携帯だけをポッケに入れて、私は会社を勢いよく出た。そして、早足で例のカレー屋に向かった。以前来た時は、ずいぶん遠くに感じたけれど、5分くらいで着いてしまった。

急いできたのだからすぐに座れるだろうと思っていたら、外まで並んではいないけれど店内に5人ほど並んでいた。その日はスーツを着たサラリーマンばかりで、夏の終わりでラフな格好の私が一人混じって待つのは、少しソワソワした。
ただ店内の雰囲気は、外見と同じように地味で、けれどそれはいい意味でシンプルで、上品さのある木の椅子や、調度品は落ち着く風合いだった。待っている間に、他のお客さんがどんなものを頼むかキョロキョロ見ていると、思ったよりもすぐに席が空いてしまった。

みんなチキンを頼んでいたので、私もそれを頼んだ。
60代くらいの女性店員さんの声が飛ぶ。

「チキンです。」

すると、その声を皮切りに、ご飯をよそう中年女性、カレーをよそう高齢男性(店主さんかな?)、副菜を盛り付けるやや若めの男性、皆淡々と、ていねいに自分の所作をこなし、次の人へとリレー形式にお皿を手渡していく。

静かで、無駄なく、一定のリズムでひとつの皿が回っていく光景に目を奪われていると、すでに目の前には私の分のカレーが来ていた。

ここ最近ではあまり見ない、サラサラとしたルゥにチキンがちょこんと真ん中にのっていた。のっぺりとした構成は決して「映える」ものではないけれど、お皿が少しだけ色味を足してくれていた。

緊張しながら、まずはルゥとごはんを均等な割合でスプーンに乗せて、ひと口。何十種類も入っているであろうスパイスの香りが、口中に広がる。今まで全く食べたことのないカレーだった。そして、あとから辛さがしっかりくる。

お次に肉をスプーンで割ってみると、見た目のキュッとしまった様相とは裏腹に、いとも簡単にほろっと解けた。思わず顔がほころんだ。そして、またごはんと合わせてひと口。これこそ、理想のチキンカレーだ。

付け合わせの黄色いマッシュポテト、食べてみるとクミンのいい香りで、めちゃくちゃ美味しい。正式名称はわからないが、私史上もっとも美味しいマッシュポテトで、これだけでもお茶碗一杯行けるレベル。

そこからは、もちろん無心に、鼻水をすすりながら食べ終えた。こんな感動的なカレー体験は、今までなかった。食べる時間は10分とかからず、水を飲み干したらお会計をして、すぐに外に出た。

これから更に好きになるであろう店との衝撃の出会いの余韻に浸りながら、まだあるさの残る日差しの中でとても清々しい気持ちで歩いた。

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もちろん、それからはもう10回くらいは行っている。なのでもう少し細かいデータをお知らせしたい。

・おそらく家族経営、平日のお昼しか営業してない。

・本当に美しい、淡々とした流れでカレーを盛っていく。特にお父さんの担う、ルゥをよそう作業は、職人技で思わず息を止めて見てしまうほどだ。

・お客さんに話しかけたりすることはせず、いつも淡々とオーダーを取り、お会計をすませる。しかし、いつだかお母さんがチャーミングなおばさま常連さんにだけ、少し雑談をしているのを見かけて、逆にほっこりした。

・チキン(中辛)の他に、ビーフ(辛口)・エビと森のきのこ・ナスと挽肉などがあり、プラス料金で大盛りにできる。

・付け合わせは、デフォルトおいも(店員さんがオーダーを飛ばす時にはこう呼ぶ)だけれど、キャベツ(とその他野菜を炒めたもの)が選べる。常連さんぽい男性サラリーマンは、健康意識か、味の好みか、こちらを頼む人が多い。

・テイクアウトもできて、値段は少し安くなる。(たまにテイクアウトにして、公園で食べたりもするのも、これまた一興なのである)

・冬期で月・水・金限定で「ロールキャベツのカレー」がある。(こちらも、もちのろん美味しいです)

・過去になにかの雑誌で作り方が載っていたらしいが、分量が店仕様だったのと、工程が多くて再現は困難だそうだ。(という情報を社内で得た)

などなど、通うことで毎回少しずつ奥深さを知るのが楽しいのだけれど、通っているわりには、いつも「チキンとおいも」の組み合わせを頼んでしまう。

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毎日がルーティンなんて、わたしには到底無理だ。

私はよく深い人間だから、カレーの内容もコロコロ変えてしまうし、きっとカレー以外のメニューも出したくなってしまう。さらに言えば、カレーを作らない人生も味わいたいからと?ポンと仕事を変えてしまうと思う。

こんなに手のかかったものを、毎日作り続け、そしてきっと何十年と変わらず、淡々と新橋の民のため、提供してくれているなんて、本当に頭が上がらない。

この素晴らしいカレーを作り続けることは、まさに勇気といっても過言ではない。文句も言わず、静かに、流れるようにカレーを提供する。その真摯な姿勢が詰まったカレーを、誠意をもって味合うのが客としての務めであり、働く姿を見ると背筋を正される思いになる。

そんな、ザ・カリにはいつも感謝しているし、これからもずっと食べたい。

(この文章からも、熱意と誠意とがビシビシと伝わってきます)

本当に好きだから、絶対にどこかに書きたかった。

だんだん後半になるにつれて、泣きそうになって、最後には少し泣いてしまった。こんなに好きなお店ができるなんて、後にも先のもあるのだろうか。私の中では、味も姿勢も、働く姿も全てにおいて一番の飲食店です。これからも、通うのでどうぞよろしくお願いいたします。

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ザ・カリ (The KARI)
東京都港区新橋5-31-7 中村ビル 1F (JR新橋駅から徒歩7分)
営業は、平日の昼のみです。


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まりも
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