#27 ナチスドイツとお寺と東京リベンジャーズ
ナチスドイツのナチ党はハーケンクロイツ(かぎ十字)をシンボルマークとして採用していた。
かぎ十字は5000年以上前から存在し、サンスクリット語の「スヴァスティカ」に由来している。「幸運」または「幸福」といった意味があり、多くの文化や宗教で使用されてきた。日本では「卍(まんじ)」として知られている。なお、日本で一般的な卍が左まわりなのに対し、ハーケンクロイツは右まわりの「右まんじ」である。
ナチスの論理としては、もっとも優れた民族がアーリア民族(ドイツ人、北欧系の人たち)であり、卍はアーリア民族のシンボルであって、自分たちがそれを復活させたというものだった。そのため、ドイツではナチ党以外にも極右系政党が卍を使用していたらしい。
現在のヨーロッパではナチスドイツを生み出してしまった反省からハーケンクロイツはタブーとなっている。しかし、世界的に見たらそうではない。
日本で卍は寺院を表わす地図記号として知られている。ヒンドゥー教や仏教で卍は吉祥を表わすものとして広く使われているからである。
東京五輪に向けて、ヨーロッパ系の外国人に誤解をまねかないように、寺の地図記号を変更すべきではという議論もあったが、結局はそのままになった。同様に、ヨーロッパでは東京リベンジャーズのコスプレをする際に卍が一部ではあるものの物議を呼ぶらしい。その都度、現地の正しい知識を持ったアニメファンが火消しにまわるそうだ。
5千年以上人類が使用してきた卍が、ナチスドイツの数十年によってこれほどまでに勘違いをされているのである。
参考