#215 ASEANはなぜつくられた?
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、東南アジア10か国が加盟する地域機構で、主に経済面での連携を目指した組織である。
設立されたのは1967年、原加盟国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国で、1984年にブルネイ、1995年にベトナム、1997年にラオス・ミャンマー、1999年にカンボジアが加盟し、現在の10か国となった。2015年には「ASEAN共同体」の設立を宣言し、東南アジア諸国はより一層結びつきを強めている。
現在では経済協力のイメージが強いASEANだが、設立した当初の目的は少し違っていた。1967年の東南アジアはベトナム戦争真っ只中。北ベトナムを中心に、カンボジアやラオスに共産主義勢力が台頭し、周辺諸国や資本主義勢力が危機感を感じていた。
その影響を止める防波堤として結成したのがASEANである。
ロシア革命では、皇帝一家が皆殺しになり、悪とされた資本家が次々と殺されていった。ロシア革命から50年ほどしか経っていなかった冷戦時代、資本主義諸国にとって社会主義革命とは「自分が殺されるかもしれない」という実感を持った脅威だったのである。冷戦が東南アジアの結束を強める発端となったのだ。
その後、冷戦が終わるとベトナムを含めた東南アジアのすべての国がASEANに加盟し、ASEANは地域機構としての役割を強めていくことになる。
※唯一の非加盟国である東ティモール(2002年に独立)も加盟が内定している(2023年8月現在)
【目次】
【参考】