#145 地下トンネルとゲリラ戦
ベトナム戦争を象徴する史跡となっているのが、アメリカ軍が駐留していたホーチミン市から北西100kmほどの場所にあるクチトンネルである。現在は観光名所となっている。
クチトンネルは総延長250km(東京~浜松間に相当)に及ぶ地下トンネルで、南ベトナム解放戦線が南ベトナム政府(アメリカ軍)を攻撃する拠点となっていた。重機でなく人の手でつくられたトンネルは、ジャングルのいたるところに小さな出入口があり、落ち葉などでカモフラージュされていた。どこからともなく現れ、被害を与えるとすぐさまトンネルに撤退していくゲリラ攻撃にアメリカ軍は苦戦を強いられた。
さらにジャングルのいたるところに落とし穴(落ちると槍や毒蛇などにやられてしまう)などのトラップが仕掛けられており、古典的なやり方ながらアメリカ軍にとっては脅威だった。
トンネル内は軍事拠点というよりも細長い都市のようになっており、居住スペースや会議室、学校、台所のようにアリの巣のように役割分担された部屋と通路が張り巡らされていた。緊急脱出用に川につながる通路や、大規模な爆撃を受けた際にトンネル崩壊から身を守る三角形のシェルターも準備されていた。
トンネルは比較的身体の小さいベトナム人に合わせたサイズでつくられたため、アメリカ兵は入るのも一苦労、トンネルを攻略するために身長の低い兵士で特殊部隊がつくられたこともあるそうだが、結局ベトナム戦争終戦まで攻略はできなかった。
しかし、トンネル内の環境は劣悪で、伝染病や、サソリやヘビなどの動物による被害などもあり、多くのベトナム人が亡くなっている。
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