パパを見送る②
葬儀をお願いした所の担当の方も、経験豊富で、何もわからないあたし達に適切にアドバイスをしてくれた。金銭的なこと、世間体のこと、本当によくしてくれた。
話し合いは姉、お母さんと蟠りもなく、スムーズに進めることができた。まぁ、4人家族だから…
この日からあたしは実家に泊まり込みになった。お母さんに負担をかけたくなかった。あたしは子供達がもう高校生と中学生だったが、姉は小学生と幼稚園児だった。しかも隣県。実家の事は近くのあたしが出来る限りやろうと思っていた。
5年前の今頃はとても寒かった。パパがいる部屋は暖房はつけられない。防寒着、毛布を被ってろうそく番を何日かした。
昼間は商店街の人や御近所の人たちが、お線香をあげに来てくれた。この辺ではパパは若い方だった。お客さんのお相手、一日一回、ドライアイスを変えに来てくれる、葬儀屋さんとの打ち合わせ。一日があっという間に過ぎた。そして時間があれば、パパの顔を見ていた。白い布を剥いで…段々柔らかい表情になっていくパパ。家に帰ってきてホッとしてるんだなぁ…と話してた。
納棺の儀式も(白装束を着せたり、足袋を履かせたり、色々…あまり覚えていない)終え、すごく寂しかった。触れなくなってしまったから…
そしてお通夜の日、午後出棺。実家の前は幹線道路で道幅も狭く、霊柩車に乗せるのも大変だった。お母さんとパパが乗ったのを見送ってから、あたし達も葬儀会場へ向かった。
受付など全て葬儀社の方がやってくれたから助かった。姉やあたしは来てくださった方に挨拶したり、会場の事でじっとしていられない状態だった。娘にもお手伝いを頼むくらいだった。
なんせ、はじめて葬式を出すというプレッシャー、本当に大変だった。
時間になり通夜が始まった。少し小さい場所だったから、座れない人が出た。びっくりするくらい参列者が来て下さった。お焼香の後のお清めで不手際がないか、最期まで気を張る日だった。