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地方創生特:大臣所信に対する質疑(広田一2019/03/19)

地方創生の総合的対策に関する件【衆議院地方創生特別委員会】※要旨

地方自治体に対する財源措置/地方交付税

○広田一委員 我が高知県の高齢化率は全国の10年先を進んでおり、平成2年には全国で初めて人口の自然減が始まった。人口減少問題・少子高齢化問題には非常に強い危機感を持ち、課題解決のために高い志を持って県を挙げて取り組み、全国でもいち早くまち・ひと・しごと創生総合戦略について策定した県でもある。地方創生問題については議会でもたびたび取り上げられており、きょうは議会などの議論を踏まえて何点か伺いたい。
 まずは、何をするにしても財源が必要であるので、地方自治体に対する財源措置について、特に地方交付税について伺いたい。
 地方交付税は、自主財源の乏しい、つまり財政力の弱い地方自治体にとってはまさしく命綱だ。過去、小泉政権の三位一体改革で地方交付税が激減することになり、地方自治体の財政運営は非常に厳しいものになり、その中でも公の経済に依存せざるを得ない地域においては地域経済に対して多大な影響が出た。
 地方交付税について、人口減少の進展や、また高知県を初めとする財政力の極めて弱いグループを見ると、ほかの自治体に比べて基準財政需要額が伸びていない状況にある。加えて、今年度からはリーマンショックの危機対応から平時対応への切りかえに伴う影響が懸念されている。いわゆる経済雇用対策費の特別枠の廃止、高知県の場合は平成24年度は県市町村分で約131億円あったが、平成29年度は24億5000万円となった。
 こういった特別枠が廃止されても、地方創生対策とか、人口減少対策、ふえ続ける社会保障、南海トラフ巨大地震対策など、本当に地方自治体が取り組まないといけない喫緊の課題は山積している。
 そういう中で来年度の地方財政計画を見ると、地方交付税については16兆2000億円、対前年度比1.1%、2000億円の増額であり、過去のご尽力について高く評価をするところだが、総額は確保しても具体的に個々の小規模自治体に落とし込んでいったときに、これまでも見られたように数億円単位で地方交付税が減るという事態があり、自治体の財政運営に非常に大きな影響を与えている。
 この地方交付税の配分算定に当たっては、条件不利地域や財政力の弱い団体にこれまで以上に焦点を当てた、地域実態を十分に踏まえた財源措置が必要と考えるが、この点についてのご所見を総務省に伺いたい。
○多田健一郎官房審議官(財政制度・財務担当) 地方創生の推進を初め、社会保障、防災・減災対策など、国民生活に密接に関連する行政については、そのほとんどが地方団体で実施されている。一方で、税源の偏在により地方団体間には大きな財政力格差がある。そういう中で、地方交付税は財源の不均衡を調整する機能とともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保するための必要な財源を保障する機能を担っている。
 ご指摘の来年度の地方財政対策については、一般財源総額を0.6兆円増とし、交付税については0.2兆円増の16.2兆円を確保した。
 個別団体ごとの交付税の算定ということだが、人口が少ない団体ほど人口1人当たりの行政コストが割高になること、あるいは離島・積雪地など特別の財政事情の存在など、さまざま捉え、基準財政需要額の算定に反映するなど、小規模団体あるいは条件不利地域の団体においても財政運営に支障がないように適切な算定に努めている。今後とも、各地方公共団体の財政需要を的確に捕捉し、地方交付税の財政調整機能と財源保障機能が十分に発揮できるよう適切に対応していく考えだ。
○広田一委員 確認だが、そうすると小規模自治体や条件不利益地域を抱えている自治体等については、先ほど指摘したように対前年度比で数億円単位で地方交付税が減額するといった事態は、今後生じさせないという理解でよろしいか。
○多田健一郎官房審議官(財政制度・財務担当) ご指摘のように、過去に経済対策という意味で特別の経費を交付税に積み込んできた、歳出特別枠を積んできた経緯があるが、先ほど答弁申し上げたとおり、個別団体ごとの地方交付税の算定に当たって、小規模団体あるいは条件不利地域の団体においても財政に支障が生じないように適切な算定に努めてまいりたい。
○広田一委員 「財政運営に支障が生じない」というのは具体的にどういうことなのか。数億円減は確かに国から見れば小さい額かもしれないが、小規模自治体から見れば財政運営に多大な影響を与えるわけで、支障をきたさないということは、対前年度比で数億円ものを地方交付税が減額されることはないということなのか。所見を伺いたい。
○多田健一郎官房審議官(財政制度・財務担当) 個別団体で交付税が減少することがないかどうかということだが、一つには人口減少等、それぞれの自治体の状況もあり、税収の伸びといったことも影響するので、一個一個についてはなかなか明確に申し上げることは困難だが、いずれにせよ財政運営に支障がないように適切な算定に努めてまいりたい。
○広田一委員 数億円規模で交付税削減をしないということはなかなか明言できないとは思うが、ぜひご留意いただきたいのは、地方交付税は、どうしても人口減少が著しくなると基準財政需要額等の算定にも影響を与え、必然的に下がらざるを得ない状況になってくる。これまでは特別枠があり、結果としてそれが下支えになったが、これが今年度から廃止になったので、激変が起きないように、総額はふやしているわけだから、個々に落とし込んで、今年度より大幅に減ることがないように目くばせをして取り組んでいっていただきたい。

政府関係機関の地方移転

○広田一委員 次に、政府関係機関の地方移転の現状と課題について伺いたい。
 政府関係機関の地方移転は、政府の意思と行動によって東京圏から地方への人の流れをつくる起爆剤になる。つまり、政府の本気度が示される大変重要な政策だろうと思う。現在は、文化庁など7局庁、研究機関・研修機関など23機関50件の地方移転等が進められている。これらの取り組みに対する関係者の皆さんのご尽力には敬意を表したいと思うが、文化庁の京都移転以外は正直小粒と言わざるを得ない。質・量とも看板が倒れかけているのではないかと懸念もするが、片山大臣、今の政府関係機関の移転等の取り組みは十分とお考えか。
○片山さつき地方創生担当大臣 政府関係機関の地方移転は、平成28年3月に基本方針をまち・ひと・しごと創生本部で決定し、現在はこれに基づいて取り組んでいる状況だ。
 ご指摘の文化庁の京都移転は2021年度中を目指して本格移転ということで、関係省庁と地元が連携して、移転先に決まった京都府県警本部の改修等の準備が確実に進むよう取り組み中だ。
 確かに大きな「庁」とつくところが、ほかにどうなるかということはあると思う。また、いろいろな議論があり、意見が収束していない部分があるのも事実だ。
 中央省庁については、特許庁が平成29年7月に大阪府に独立法人工業所有権情報・研修館近畿統括本部を設置し、近畿にある企業の海外展開支援件数を2.5倍に伸ばすなど、意味のある機能移転をやっているところはある。
 それから山口県に一部移転した宇宙航空研究開発機構・JAXA、これに大学や地元企業も協力してリモートセンシング技術が防災分野等にも活用されるなど、地元で何らかのプロジェクトを巻き起こすなどプラスの効果も生んでいる。
 この後の次の団体ということになると、より一段の議論がまだ必要なのかなというのが現状ではないかと考えている。
○広田一委員 「より一段」ということもさることながら、政府関係機関の移転という言葉にふさわしい取り組みが本当にされているのかどうか。これは政府参考人で結構だが、例えば観光庁や中小企業庁をやろうとしているが、これは本当に地方移転にふさわしい内容なのか。
○高橋文昭内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長 政府関係機関の地方移転の取り組みについては、先ほどの文化庁に加え、消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスを徳島県に設置、総務省統計局の統計利活用センターを岡山県に設置、加えて、政府関係機関移転基本方針、政府関係機関の地方移転に係る今後の取り組みについてまち・ひと・しごと創生本部において決定した結果に基づき、小規模の独立行政法人や研修・研究機関などさまざまな移転が行われている。
○広田一委員 中小企業庁と観光庁については。
○高橋文昭内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長 中央政府の機関等については、七つの機関が移転すると決定しており、それぞれ行っている。
○広田一委員 「移転」という日本語にふさわしい取り組みではない。中小企業庁は近畿経済産業局に中小企業政策調査課を設置するとか、観光庁は10ブロックで観光ビジョン推進地方ブロック戦略会議を開催するとか、「移転」という言葉にふさわしくない、裏腹な取り組みがされている。
 質的なところで、この政府機関等の移転については見直しをしていかなければいけないと思うが、この点についてのご所見があれば伺いたい。
○片山さつき地方創生担当大臣 おそらく委員も現状の分析というか現状の表を見ていらっしゃると思うが、文化庁については移転スケジュールが決まっている。
 消費者庁については、徳島県に28年7月に消費者行政新未来創造オフィスができており、そのプロジェクトの集中実施が31年度までになっている。つまり、この4月から始まる新年度において、このプロジェクトの結果を踏まえ、同オフィスの恒常的な設置、規模の拡大について、検証・見直しを行って結論を得るというのが、議論に議論を重ねた結果の現状だ。
 これからデジタルガバメントとか、法制も変わって、AI技術も格段に進んでくる中で、こういったいわゆる物理的な移転について、どういった形がよろしいのかということも含めて、皆様からさまざまなご意見をいただきながら検討を促してまいりたい。
○広田一委員 研究機関などが移転することによって、有用な人材やノウハウ、また情報が地域に波及するという効果は期待できると思う。しかしながら一方で、先ほど指摘したような問題もあるので、大臣におかれてはしっかりと見直しをしていただくよう強く要望したい。

(以上)

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