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第1回 社長を続けたかった俺が、M&Aの道を選ぶ理由〜プロローグ〜

プロローグ:「社長を辞めたくないけど辞めざるを得ない件について」

こんにちは、M&Aで社長やめた郎(ペンネーム)です。

と、名乗ったものの、実際にはまだ社長をやめていません。しかも辞めたくて辞めるわけじゃないんです。もし会社というものが犬のようにしっぽを振って寄り添ってくれる存在だったら、俺は一生そのしっぽを撫で続けるでしょう。残念ながら、会社はしっぽを振るどころか、たまに噛みついてくるし、今や俺の足元でしっかりと寝そべって動こうとしません。

そして今、俺はM&Aという荒波の中で舟を漕いでいます。しかもこの舟、穴が空いてるんです。誰だよ、この舟に乗れって言ったのは。


M&A、略して「マジでアタフタ」

M&Aについて調べ始めたとき、俺は「これで何とかなるかも」と希望に満ちていました。会社を手放す、もしくは新しい経営者に託すこと。それが俺の社員たちや取引先、さらには俺自身の未来を救う一手になるはずだと思ったんです。

でも、現実は甘くなかった。M&Aの会社って、まるで婚活アプリのようなんです。

「御社に合う買い手はこちら!」「マッチング成功!」みたいなノリで提案が来るんだけど、条件が合わなかったり、そもそも怪しい人も混じってたりして、話が進むどころか振り出しに戻るばかり。しかも、俺のような小さな会社の場合、大きな会社が乗り込んできて「これなら丸ごといただきます!」なんてこともなく、割と地味な攻防戦が続くんです。

一度なんて、交渉相手が急に連絡を絶って、俺の頭には「M&A詐欺」という単語が浮かんだくらい。心臓に悪い。


社長業、いや「社長病」かもしれない

営業の天才、管理職の神様、最短での出世。プライム上場企業にいたが自分に対する賛辞は正直多かった。今思えばなんて調子に乗っていたんだろうと恥ずかしくなる。大手企業でのスーパーマンと、ゼロイチで始める起業や経営は全く異なる。全てがうまくいくと思っていた起業、そしてうまくいっていた6年間、そして7期目に突如悪夢が襲いかかる。

このM&A騒動の最中、俺は改めて経営の難しさを痛感しました。利益を追い求めながら社員の幸せも考え、取引先には顔色をうかがい、税金は容赦なく取られる。

まるで「完璧なバランスのピラミッドを竹串で作れ」と言われているようなもの。でもそのピラミッド、作っても強風が吹いたらあっという間に崩れる。そう、それがまさに今の俺の会社の状況。

社員3人の小さな会社、1億円弱の売上。普通に考えたら「頑張ってるな!」と褒められるかもしれない。でも、その小さな会社の中で、社員の社内恋愛から結婚、さらには産休とドラマが巻き起こり、そして競合による市場破壊や黒船の襲来。最後には「このままじゃもうダメだ…」と呟く俺がいる。


俺はHSP社長だ。HSPという名前を知った日のこと

俺は隠すほどのことでもないので、正直に伝えるが――俺はHSPだ。

「HSP」という名前を知る前まで、俺はずっと自分の感情や感じ方にモヤモヤしたものを抱えて生きてきた。

HSPって言葉、聞いたことある?これ、正式には「Highly Sensitive Person」、日本語で言うと「非常に感受性が強く、敏感な特性を持つ人、つまり超敏感な人、繊細さん」って意味だ。つまり、俺みたいなやつのことだ。

人と会話をしていても、「なんでこんなに相手の気持ちがわかるんだろう?」と思うことが多かったし、逆に「なんでこんなに自分ばかり疲れるんだ?」とも思っていた。だけど、その答えが見つからないまま、モヤモヤはどんどん積み重なっていった。

そんな俺が「HSP」という言葉に数年前に出会った時のことを、今でもよく覚えている。

「これだ!」

それが第一印象だった。自分が何者か、そしてなぜこんなに感情や空気に敏感なのか――その理由がわかった瞬間、逆に安心した。まるで、霧が晴れるような感覚だった。


空気が読めすぎる「HSPの感覚」

HSPというのは、簡単に言うと、人よりも物事に敏感な性質を持った人間のことだ。俺の場合、その敏感さは「空気を読む能力」として現れることが多い。

たとえば、人と話している時。相手が何を考えているのか、その空気感がまるで「見える」ように伝わってくることがある。

  • 「この人、何か悩んでるな。」

  • 「この場では何も言わないけど、実はこう思ってるんだろうな。」

  • 「あ、この人、俺の話に全然興味ないな。」

決して霊感や第六感の話をしているわけではない。でも、相手の微妙な感情や考えが、まるで空気のように伝わってくることがある。


営業でも「買う・買わない」が見える

HSPのこの感覚は、営業の場面では意外と役に立つことも多い。俺が営業をしていると、相手がどれくらいこちらの商品やサービスに興味を持っているのかが、感覚的にわかることがある。

  • 「この人、買ってくれそうだな。」

  • 「いや、この人は全然興味なさそうだ。」

  • 「ここでこう話せば、心が動きそうだな。」

これがわかるから、営業では割と成果を出せることが多かった。
でも、HSPの敏感さにはもう一つの側面がある。それは――


「嫌われている」もわかってしまう

HSPの感覚は、ポジティブなことだけではなく、ネガティブなことも伝えてくる。

たとえば、「この人、俺のこと嫌いだな」という空気感がわかってしまう。相手が直接何かを言わなくても、その空気を敏感に感じ取ってしまうのだ。

他にも、「この話、相手には全然響いていないな」と感じたり、「この場の空気、俺が壊してしまったかも」と思ったりすることもある。普通なら気づかないような微妙な空気の変化にも気づいてしまうため、自分の言葉や行動がどう受け取られているかを常に考えすぎてしまう。


「情報が多すぎて、疲れる」

HSPとして生きていると、普通の人よりも多くの情報を受け取ってしまう。それがポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、受け取る情報が多い分だけ、疲れる

普通の会話でも、頭の中では相手の感情や空気感を分析し続けている。会社の経営においては、社員や取引先の気持ちを敏感に感じ取りながら、常にベストな選択をしようと気を張り続けている。

まるで、映画館でスクリーンを見ながら、同時に裏で流れるメイキング映像や解説まで全部見ているような感覚だ。楽しいはずの映画が、気づけば頭の中が情報でパンパンになって疲れてしまう。


HSP社長の「生きづらさ」と「強み」

だからこそ、社長としての役割を果たす中で、疲れることも多い。
この感情もまたM&Aをしようと思い立つには十分な理由かもしれない。

これから話す物語には経営者ゆえの悩みや内部、外部問わず変化の大きな物語だ。つまりHSPの俺には情報量が多くなりすぎて、不必要に悩んでしまっている可能性もある。

実際に友人の社長や税理士に相談しても、まあよくある話だとあっけらかんと笑ってくれることも多い。


「過去」を残すことで「未来」を作る

そんな俺の経験が、これを読んでいる起業を目指す方、経営をしている方、それこそHSPで悩んでいる方、そう、そこのあなたに何かを残せたらいいなと思っている。

零細企業の実態やM&Aの奮闘記を記すことで自分の経営の証や、誰かの勇気になって欲しい。できることな俺のような失敗はなく、最短ルートで成功を勝ち取って欲しい。そんな思いをのせた奮闘記、そうだちゃんと記録をとろう。そして俺はnoteに登録した。

経営の現実、M&Aの苦労、そして会社を守るために、社員を守るために、あえて手放す選択をすること。その全部が、同じように悩んでいる人たちの助けになればと思う。


これから起業する方にも伝えたい

起業して7年が経つ。正直いえば順風満帆だったと言えるだろう。しかし初めてM&Aについて考え、そして初めて本当の意味で過去を冷静に振り返ることができる。

結果論になるが、そう「たられば」の話になるが明らかにここが失敗の分岐点だったと考えることができる。そんな経験を伝えることでこれから起業をする方達の微力ながら力になれれば良いと思う。

もちろん俺のM&A奮闘記は令和6年に始まったので、成功するか、失敗するかもわからない。心を入れ替えて自社の経営者として覚悟を持ち事業を進める可能性もある。その結末も含め、葛藤も含めて伝えていきたいと思う。


ぶっちゃけ不安だから言葉にしてみる

正直、泣きそうになる夜もある。でも、その夜のど真ん中で「これ、あとで笑い話になるかな?」と思って記録を残す俺がいる。

俺をビジネスマンとして成長させてくれた方に言われたことを思い出した。「君は売る力はあるけどドキュメント化する力はないね。喋れなくなったら何もできないよ。」

プライム上場企業の営業マン。グループには1000名以上のライバルがいる。その中のTOPに君臨していた。つまり天狗になっていた俺には攻撃力の高い一言だった。全てがうまくいくと思っていた社会人人生。俺の鼻を折ったのがこの言葉をくれた取締役だった。

俺はこの取締役の直下に指名された。側から見れば出世街道のど真ん中だったが実情は異なる。経営企画室に入ったが自分の力のなさもあり降格した経験もある。経営とは何か、会社とは何か、それを徹底的に叩き込んでくれて感謝しかない。この話も機会があればしていこう。

今なぜかこの「ドキュメント化する力はない」と言われた言葉が頭の中を回っている。そうだ、自分が困難な時ほど記録を残しドキュメント化しなければ。

そして不思議とこうして記録を残していると頭がクリアになるし、心が落ちつく。

そうこのM&A奮闘記の記録は、自分自身へのエールでもあり、同じような境遇のあなたへのメッセージでもある。

さあ、俺と一緒にこのM&Aという荒波を乗り越えていきましょう。舟が沈む前にね。

いやいや、沈むなんて決まってないし。と自分に突っ込んでみた。

俺のM&A奮闘記がここから始まる。

続く


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M&Aで社長辞めた郎
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