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「風立ちぬ」に見る“結核と美”

かつて結核はヨーロッパの貴婦人にとって理想的な死に方だった。理由は「肺結核にかかると食欲不振や体重の減少によってほっそりと痩せ、肌が青白くなり、美しさが強調されるから」らしい。

「風立ちぬ」に出てくる菜穂子の花嫁姿

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雪降る夜に提灯の灯りに照らされて歩く菜穂子の姿には、この世の者ならざる美しさがある。儚く生気を感じない、まさに昔の女性が憧れた“結核にかかった美”が表現されているように見える。しかし、同時にムンクの「病める子」を思い起こさせるシーンでもある。視聴者の多くは彼女が健康でない、死期が近いかもしれないと予感するはずだ。

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結核も決して楽な死に方ではない。しかし、ヨーロッパの感染症の歴史を見れば結核が“美しい死に方”ともてはやされた理由もわかる。ペスト菌が原因で肌が黒くなり腐って死ぬ黒死病や天然痘などの感染症と比べるとマシな死に方に見えたのは確かだろう。結核患者の真似をした化粧が流行ったぐらいだ。

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結核は過去の病気ではない​

現代人からすると結核は「風立ちぬ」のような過去の病気と思うかもしれないが、結核で亡くなる日本人も少なくはない。コロナの影響で忘れがちになっているが、結核などの感染症対策も忘れてはならない。

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