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絵本「ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ」田島征三

先週、古本屋で絵本を買った。
田島征三さんの「ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ」。
古本屋さんは、田島征三さんのことを知らないといったが、
「表紙の絵がとてもおもしろかったので入れてみた」と話してくれた。
私は以前から田島征三さんを知っていた。
絵本制作のかたわら、山羊を飼い畑仕事をしていた画家である。
物語も確認せずに、私はこの本を購入した。

4年ほど前から私は国際交流協会でボランティア活動をしている。
そこで外国からきた子どもたちに絵本の読み聞かせをしたりする。
今回はこの本を読むことにした。
日本にきたばかりの小学生の兄弟がやってきた。
日本語はまったくわからない。
でも私は「これを見てて」といって、田島征三さんの絵本を渡した。
8歳くらいの弟が、にこにこして絵本を開いた。

絵本には28もの独創的な絵が描かれていた。
田島征三さんの絵はおもしろいのだ。
おはなしもおもしろいのだ。
ことばはわからなくても、彼らは絵本を見てよろこんでいた。
わたしもそれを見て、とてもうれしくなった。
いよいよ時間になり、読み聞かせがはじまると、
ほかの子どもたちといっしょにその兄弟もいすにすわって、
わからないであろう日本語の話を聞いてくれていた。

だけど、ふたりはずっとわらっていた。
ことばがわからなくても、通じるものがある。
それを田島征三さんの絵本で実感できた瞬間だった。


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