持病がある人の保険の話②
昨日は1型糖尿病で、医療保険に入れなかった時代に「年金払積立傷害保険」に加入したところまでを書いた。この保険に入ったときはまだ30代で、持病があるといっても入院をしたこともなければ病状が悪くなるということもなかった。
それから私は正社員の職を得て、数年間は社会保障も手に入れ、元気に生活を送っていた。しかし、その次の就職は正社員ではなく、契約社員として働きはじめ、毎年更新された。3年目、私のあとに入った男性が正社員になり、同じ仕事をしているのになぜ私は正社員にしてもらえないのかと物言いをつけた。私が女性だからなのか。文句をつける態度が気に入らなかったせいか。その後も「今年こそは」と会社側の評価を待ったが、とうとう根負けした私は退職することにした。
私は40代になって医療費の心配をしはじめたのだと思う。糖尿病は合併症が誘発されやすいため、年齢が高くなればなるほどリスクが多くなることは否めない。だから私は「もしも」のときに備えて出始めたばかりの医療保険に入った。持病がある人を対象とした保険はまだ珍しかったため、金額も高めだった。おそらく、カード会社からの誘いがあったのではないだろうか。
それからも私は元気で、医療保険が適用される機会はなく、毎月掛け捨ての金額は消えていった。初めて保険が役にたったのは2010年だった。糖尿病眼科の定期健診でレイザー治療が必要と診断されたからだった。診察に行った日に即日入院してくださいと言われ、1週間ほど入院して手術を受けた。レーザー治療は簡単なものらしく、診断した医師ではなく研修医が行った。「音楽かけてもいいですか?」と聞かれたので、「かまいませんよ」と答えたら、ロックの音楽をガンガン鳴らしながらやってくれた(笑)。保険が役に立ったのはこれが初めてだった。
私はまた職場を変え、次は派遣社員となった。その頃には「持病があっても入れます保険」が増え、私は友人の紹介で保険を掛け直すことにした。新しい保険にかえて2年がすぎた頃、健康診断の大腸がん検診にひっかかった。精密検査の結果はポリープだったが、その除去が保険適用となり給付を受けられることになった。なんだか「ラッキー」な気分だった。そのときは入院もしないままお金を受け取ることができた。
そして今から4年前、子宮頸がんが見つかって1カ月半の入院生活。本当に保険に入っていてよかったと思えた。ただ、毎日のようにテレビで見かける「持病があっても入れます保険」の保険料は、私のものよりも安価だ。あと1年経ち、がん治療5年が経過したらもっと安価な保険に変えたいなと考えている今日この頃だ。
最初に入った「年金払積立傷害保険」は掛け捨てではなく、来年から給付が始まる。あとでわかったことだけど、当時の利率はとてもよかったそうで、今ではそんな保険はないよと保険屋の友人が教えてくれた。
医療保険に入れなかったから勧められた保険だったのに、最初にお世話になった方に感謝し、来年の給付金が届いたら挨拶にいきたいと思っている。