春夜ー蘇軾
春宵一刻直千金
花有清香月有陰
歌管楼台声細細
鞦韆院落夜沈沈
読み下し文
春宵(しゅんしょう)一刻(いっこく)直(あたい)千金(せんきん)
花に清香(せいこう)有り月に陰(かげ)有り
歌管(かかん)楼台(ろうだい)声(こえ)細細(さいさい)
鞦韆(しゅうせん)院落(いんらく)夜(よる)沈沈(ちんちん)
口語訳
春の夜のひと時は、千金のお金を払ってもいいくらい良いものだ
花々は清らかに香っているし、月もおぼろである
昼間の間あれほど賑やかだった歌や管弦の音ももうかすかに聞こえるのみである
女官たちが遊んでいた中庭のブランコも寂しくたたずむ静かな夜である
蘇軾(そしょく)は、字は子瞻(しせん)諡(おくりな)は文忠公
号は東坡居士 唐宋八大家の一人。
唐宋八大家(とうそうはちたいか)
韓愈 柳宗元 欧陽脩 曽鞏 王安石 蘇洵(蘇軾 蘇轍の父)蘇軾 蘇轍
蘇軾は宋の高官でした。この詩は宮廷の宿直をしていた時に作った詩だと言われています。
開封の都の春の華やかさと、夜の宮廷の静けさが偲ばれます。