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詩 『おりん』
1
まほうみたいな
振動と摩擦の合掌
真鍮の塊が
波紋に溶けていく輪郭
回旋と共鳴の彳亍に
わたしのからだをのせて
やつれた綻びの声は
揺られる波に光を灯す
輝く悠遠の礼節
その崇高は
流転のひとひらに
踊っていた
2
真鍮のささやきをきく翠緑の淵
慎ましやかに歩く木漏れ日と
流れる水に横たわる苔たちは
わたしのすべてをはぎとって
岸の向こうへ導いた
わたしの迂愚な外殻は
湿った石の葛の下
黒檀色へ霧散した
3
重厚な声にのる光
彼岸花の茂りは
遠景にささきかける
忘却に臥した煩いを
雲にして
雨にして
嫋やかな滴
水紋の狭間
その目覚めに
再び
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