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詩 『無極』

身勝手な放散への渇求を抱いたのは
柔らかな陽の光を知らなかったから

謙虚な慈愛の挺身を為せなかったのは
暗闇の冷淡を閑却したから

風になる鳶と
海を渡る鯨

夢見た少年たちは
一目散に駆け出した

足元の石を蹴飛ばし
ただ真っすぐに走っていく

少し伸びた
木通の蔓に
足を取られて
転がり落ちた
動かぬ身体

淡青の空が彼らを見下ろす

潮騒を携えた雲の影が
その上を通り過ぎ
地平のぬくもりが眠りを喚起する

遼遠の声

呼び止められた肉体は
白妙の乱反射の中へ

そっと静かに舞い上がっていた





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