北アルプス国際芸術祭と白黒エルマー
9月13日から11月4日にかけて、長野県の大町市では「北アルプス国際芸術祭」が開かれています。
芸術祭といえば、直島を中心に有名な瀬戸内トリエンナーレや、越後妻有で20年も続いている大地の芸術祭など、各地で盛り上がりを見せているものがありますね。
こうした芸術祭では、同時代を生きるアーティストの作品を目にすることができる点でも価値あるものですが、アーティストがその土地をそれぞれの感性で読み解くことによって地元の人が忘れていた魅力を再発見したり、ひいてはその土地で生きる意味などが見直される機会にもなる点でさらなる価値を秘めていると思っています。
もちろん開催にあたっては資金的にも人材的にも大きなエネルギーを要するもので容易に手が出せるものではありません。ただ、そこに希望を見出す機運が開催地の人々にあるのなら(大事)、その価値は波紋のように開催地に広がっていくのだろうと思います。
前置きが長くなりましたが、今回で3回目となるこの芸術祭。
「波紋」というのも、大町市は3つの湖を抱え、北アルプスから流れ込む豊かな軟水と生活を共にする「山と水の街」です。
3つの湖は白馬から大町に向かって、透明度抜群でSUPも楽しめる青木湖・大山桜の名所として名高い中綱湖・プールやボート、宿泊施設の並ぶ木崎湖の順に並んでいます。
ヘッダーになっているのは真ん中の中綱湖で、最も小さいながらも深い緑色の湖面が穏やかな湖です。
大きな工場や、有名なところでは黒部ダムの建設に関わって発展した側面もありますが、インバウンドで賑わうお隣の白馬とはまた違った魅力がこの街にはあります。(…あるはずですがんばれ、次第に北端がHAKUBA VALLEYに侵食されてるぞ。)
さて、ここまで湖のことを語っておきながら、今回訪れたのは湖ではありません。
大町の東側、山間にある八坂地区に行ってきました。
大町市はかつての大規模な市町村合併の中で、大町市・八坂村・美麻村の3市村が合併して今の形に至った経緯があります。
八坂・美麻はいずれも山間の集落ですが、道中の林が美しく、それを抜けると穏やかな田園が広がり、さらに遠くに目をやると北アルプスが見える地域です。
展示されていたのは台湾のアーティスト ヨウ・ウェンフーさんの「竹の波」、南アフリカのアーティスト ルデル・モーさんの「Folding」
北アルプス国際芸術祭は今回が3回目で、初回に展示された作品もいくつか継続で見られるようになっています。
大町の鷹狩山山頂に作られた日本の現代アートグループ 目[mé] によるTangible Landscapeもそのひとつで、大町の景色を眺める「装置」として改装された建物とのこと。
確かに、不思議な凹凸や白い素材に覆われた屋内、それに対する大きな窓は、見る体験を異なるものにしてくれます。
まだ見るところはありますし、天気が異なればまた違う表情を見せることでしょう。引き続き探訪していこうと思います。
そして今回のお供は先日お越しいただいたElmar3.5cm f3.5。
フードも装着してのお出かけでした。
35mm一本勝負でのお出かけは苦手な焦点距離というのもあり今までしたことがなくちょっと勇気が要りましたが、行ってみると色々なものを適度な大きさに切り取れることがわかり、お出かけレンズにしやすい理由もわかった気がします。