国民民主党の躍進と政治が身近になりつつある理由
先の衆議院選挙における国民民主党の躍進に始まり、政治に対する関心が日に日に高まっている。
単に一過性のブームで終わる可能性はある。しかし、01世代の僕にとっては、政治が関心事となるのは僕が物心ついてから初めての事であり、21世紀を生きていく同世代にとっても、今回の一連は政治に関する原体験になるだろう。
自分も今回の選挙を機に政治や経済に興味をも初めた。と同時に、今回の選挙が多くの国民、特に若者の関心を集める事に成功した理由について、自分なりに考察してみようと思う。
ミクロ→マクロの視点誘導
経済学の理解にはミクロとマクロの両視点を持つことが重要だと言われる。
国民民主党が掲げる103万円の壁の引き上げは、国民生活に直接的に関係する政策であり、国民一人一人に対してミクロな恩恵をもたらす。
一方、その政策の実現にあたり、税収減をどう賄うかが大きな論点となっており、これはマクロな問題である。
103万円の壁の引き上げという一つの政策を通して、国民の関心事である減税というミクロから、国家の税収というマクロな視点へ自然に誘導されている。103万の壁の引き上げは両視点のつながりを分かりやすく示す具体例として国民の経済リテラシーの向上に貢献していると感じる。
また、財務省という大きなフィクサーの存在が可視化された事も大きい。財務省のスタンス(財政均衡主義)の是非はともかく、政策決定のプロセスには政党や内閣以外のステークホルダーの存在が周知された事により、政局や政党だけでなく、より大きな視点で政治についての理解を深めることができる。
物語性
新進気鋭の政党が若者の支持を集め、急速に力を付けていく。このキャッチーな物語が雪だるま式に若者の関心を集めことが国民民主党の躍進に繋がり、ひいては政治への関心を高める事に繋がった。
ものごとを理解する際、物語性は重要な要素である。
興味のないスポーツのプロ選手の通算成績や受賞歴を見ても面白くないが、Wikipediaの人物や来歴欄は案外面白く読めたりする。
対決より解決をモットーに新しい形の政党を謳う国民民主党の躍進は、一つの物語としてリアルタイムで若者の目に映っている。
また、玉木雄一郎や榛葉幹事長の二枚看板を打ち出したSNS戦略も功を奏した。
他にも若年層には以下のような特徴がある。
・現代の若者はSNSでの過激な論争に目が慣れているせいか、反動で中庸主義的な傾向があること
・これまでの政治の歴史を知らないので、右や左というイデオロギーを基準にした政治の見方を知らない
国民民主党は政策単位での意思決定を謳っているので、上記の特徴を持つ若年層に対して特に強い訴求力があった。
追記すると、玉木雄一郎の不倫報道は党としては最悪のタイミングだろうが、ミーハーな一若者としては選挙の103万円の壁の論点を一通り把握して興味が離れていきつつあるタイミングでの報道だったので、これで関心がいくらか引き止められた部分はある。
現在まで、20〜30代の若年層にとっての政治は殆どが自民党と安倍晋三政権の歴史であり、実情はともかくとして、政治に特段関心がない層にとっては硬直的に映っていた。だからこそ、自身の投票行動が政局に影響を与えるという期待感も原体験も無い若者と政治には一定の距離があった。
しかし、今回の選挙では期間中から国民民主党の圧倒的な若者支持が報道されたり、SNSによる効果的な宣伝によって期待感が高まり、投票行動に対するインセンティブが急速に高まった。
最後に
これだけホットな話題であるにも関わらず、僕が、「最近政治が面白い」というようなことを周囲に話すと、大体嫌な顔をされる。
ある友人は「宗教と政治と野球の話はするな」という親父くさい教えを理由に、僕が政治の話をすると拒否反応を示す。何も僕は思想信条の話をしたい訳ではないのだが。
イデオロギーと経済と政局との区別がついていない人にとってはどれも一括りに政治の話=タブーになるようだ。政治や経済について、趣味の話と同じようにフラットに意見交換できる場があればいいなと思った。
また、個人的には国民民主党に過度な思い入れは無い。ただ、政治や経済については予々勉強したいと思っていて、今回の衆議院選挙における国民民主党の躍進は良いとっかかりになったという点で大いに評価されるべきだと思っている。