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「あ
いしてる」という言葉を、一度だけ言われた。
それきりその人の口から同じ言葉を聞くことはなかった。
今でもその瞬間を覚えている。
「男性は、恋路について過去を顧みる傾向が強い」ということをどこかで聞いた。
私は普段Twitter(現𝕏)やDiscordサーバー上で性別が直接的に判る書き込みをしないように心がけている。
性別がはっきりすることで生じるコミュニケーションが苦手だからだ。
この際はっきりさせておくが、私は男性だ。
私は例に漏れず過去の恋路に思いを馳せる。
そして必ず「こうしておけばよかった」と後悔する。
時に、(いるかわからないが)読者諸君は、スマートフォンの文字サイズ設定を変更しているだろうか。
私は常に最小に変更している(note側の設定方法がわからないが)。
話が飛んだと思われるかもしれないが、
大丈夫、繋がっている。
私は所謂効率厨だ。効率厨というのは、文字通り物事の効率を重視し、いかに少ない手順労力で物事を済ませるかに執着している人々のことだ。
私が文字サイズを常に最小にしているのは、画面内により多く文字を収め、ざっと見るだけでより多くの情報を仕入れるという、重要な事情からだ。
側から見たらくだらないことかもしれないが。
効率に執着する心は、恋路に対しても作用した。
ある人を好きになったら、告白が失敗しないように、つまり告白の機会を無駄にしないように、綿密に「攻略」する。
「攻略」対象は、好きになった一人に対してだけではない。
周囲の人間もよく観察し、人間関係や友人の輪は健全か、人格に問題はないか、どのような話題に興味を持ちやすいか、親の職業に問題はないか、……。
枚挙にいとまがない。
今は正直「こいつキモいことやってるな」と思うが、中学生当時は真剣にこの問題に取り組んでいたのだ。
結果一目惚れから二年半かけて告白を実行し、そしてその告白は成功を収めた。
「攻略」調査で「どのような人間に魅力を感じるか」などとうに知っていたため、交際関係を継続させるために「魅力的な人間像」を演じることは容易だった。
私は同じ人間像を演じ続けた。
しかし、交際関係には終わりが来る。
────この記事の本文を書く際に、「あ」という文字は一度も使用されていません
続きます