就学援助制度① 趣旨、対象者
本ノートの目的
就学援助制度は、後述の通り各市町村それぞれのローカルルールに則り運用される制度となっています。自治体によっては、制度の運用についてマニュアルが残されていたり残されていなかったりします。自分の場合は事務マニュアルはありましたが、おおむね後者で、「要綱以外に何もない中で理解するために要する時間が無駄だな…」と思ったので、一般論的な部分をノートに残し、全国の就学援助制度担当者が少しでも楽になるように、道しるべとなるようなもの(体系的理解ができるようなもの)を残したいと思い、本ノートの作成に至りました。
完成したら、すべてのノートをつなげて有料設定にしようと思いますが、自治体職員の方は申し付けていただければ職場のアドレスにお送りしますので、購入しなくても大丈夫なようにしようと思っています。
なお、ノートを作成するにあたり、クレームが相次いだ場合や、自治体職員以外の方が見て悪用するような場合(基本的には想定されませんが・・・)を見つけた場合には、本ノートを削除しますので、ご了承ください。また、理解が誤っている場合があれば、コメント等を残していただけると幸いです。
就学援助制度とは
就学援助制度とは、各市町村でそれぞれ条例、規則又は要綱によって運用されている所得が一定の基準以下の世帯に対する教育に係る費用の援助制度を言います。沿革については、機会があれば、別のノートとして作成します。
よくある要綱例
目的規定(趣旨規定)
よくあるパターンとしては、第1条に目的規定又は趣旨規定として、次の法令の規定に基づき、就学援助を実施している旨謳います。(個人的には、趣旨規定とするのが正しいのでは?と思っていますが、自治体によっては目的としているので、両方を挙げています。)
対象者(定義?)規定
自治体によって題名が「(対象者)」であったり、定義規定に載せていたりと、まちまちではありますが、対象者の規定があります。対象者は、次の2種類があります。
要保護者
生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第2項に規定する者をいいます。生活保護法の規定は、次の通りです。
準要保護者
生活保護に準ずる程度に困窮し、援助が必要と認められる方を言います。よくある基準としては、「令和(平成)○○年時点の生活保護基準の○.○倍」というものです。基準については、参考資料の旭川市の懇話会資料を用いて、後ほど説明します。
なお、要保護認定を行うためには、世帯単位で当該世帯の収入状況等を把握する必要があり、生活保護制度並のレベルで見ている世帯認定をしている自治体もあれば、単に申請者から一筆もらうだけで終わらせるような形で簡易的に世帯把握を行っている自治体もあります。
要保護者と準要保護者の区別の実益
就学援助制度は、基本的には要保護者に対しては、「修学旅行費」等の教育扶助の費目にないものや、学校病に関する医療費を支給します。また、準要保護者に対しては、次の費目の全てを支給することとなります。(自治体によっては支給費目を縮小していたり、上限価格を設定している場合もあります。)
学用品費
通学用品費
校外活動費(宿泊を伴わないもの)
校外活動費(宿泊を伴うもの)
修学旅行費
体育実技用具費
クラブ活動費
新入学児童生徒学用品費等
学校給食費
医療費(学校病に限る。)
卒業アルバム代
PTA会費
生徒会費
独立行政法人日本スポーツセンター掛金
さて、ケースワーカー出身の方はお気づきかもしれませんが、要保護者としてしまうと、被保護者と異なる概念であることから、「生保受給者じゃなくても要否たたいて要保護認定されたら不利益が生じるんじゃないの?」と思ったかもしれません。
この点については、後日追記しますので、ご安心ください。
とりあえず今日は眠いので、ここまでにさせていただきます。ごめんなさい。
参考資料
就学援助ポータルサイト
各自治体の就学援助の窓口について記載されています。間違っていないか確認しましょう。
「旭川市就学助成制度検討懇話会」資料(法令編)
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/ikouoya/ikou/p000907_d/fil/shiryou8.pdf
上記のウェブサイトは、根拠法令のみならず通達等にも触れられており、極めて有益なものと思います。
大阪市就学援助規則取扱要綱
個人的に、大阪市の資料は本当に細かく、実務上大変助けになります。リンクは取扱要綱ではありますが、なぜこの規定を作ったのか考えながら読むと楽しめる気がします。
船橋市就学援助実施要綱
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/jouhoukoukai/005/p043381_d/fil/shuugakuennjo.pdf
比較させていただくためにリンクを貼らせていただきました。オーソドックスな要綱という印象です(一部個人的には違和感が残る部分もありますが)。