奥州道中 復路1 白河宿→芦野宿
街道の復路歩きは温故知新。
2年前の真冬の景色と比べたり、立ち寄れなかった場所に寄り道しながら、焦らず急がず、のんびり歩むみちのくからの一人旅。
2023.11.26
1.スタート地点まで
南や西に向かうときは4時台から電車が走ってますが、北に向かうときは、始発が6時近く。楽なのですが、歩く時間が限られるため前にグイグイ進めなくなります。
コンビニのコーヒー、ホットのつもりが間違えてアイスを押してしまい、些細な事で朝から激しく落ち込みます…
赤城山。
この山を観ると、中山道の倉賀野宿から日光に向かう、日光例幣使道を想い出します。
左に赤城山を道標として眺めつつ歩き、一ヶ所だけ右に見える名勝があったりして、やがて姿が見えなくなると、前方に日光連山が見えて新たな道標に。
日光例幣使道の記録はこちら↓
わたらせ熱気球day。
日本最大の遊水地である渡良瀬遊水地で、毎月第3日曜日に行われている熱気球イベント、丁度今日がその日です。
私は故郷が近いので知ってましたが、知らずにこれ見たらびっくりしますね。
上の画像中心奥が浅間山。
冬になると、どうしてあなただけそんなに白いのですか?と聞きたくなるくらい真っ先に真っ白になります。
浅間山は、中山道を歩くときと北国街道を歩くときの道標なのですが、どちらの時も雨で、山麓しか拝めませんでした。
僅かに山麓の端が写った画像はこちら↓
日光連山。
左から男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山。
宇都宮に12年勤務した時に、8月1日午前0時から男体山に昇る登拝祭に10回くらい参加しました。雨の時は悲惨で、登っても何も見えず、まさに修行です。
那須連山。
中央左が茶臼岳、その右が朝日岳。
40年くらい前になるのか、いつなのか記憶は定かではありませんが、亡き父と昇った日が幻の様です。
新白河駅到着。
大きなダルマが鎮座してます。
だるま市。
毎年2/11に開催され、毎年15万人もの人出で賑わいます。
あと少しでスタート地点。
歩く前から山の説明ばかりしてしまいました。街道の記録をしないとですね。
2.小峰城
会津街道との女石追分から歩き始めます。
女石追分。
左が会津街道で右が陸羽街道、いつの日か熊の出ない時期に陸羽街道を歩き、終点の青森津軽半島三厩から、津軽海峡を眺めてみたいです。
からすの旗。
サッカー日本代表のエンブレム、八咫烏を思い出します。
阿武隈川。
山に囲まれているので、どのを経由して海に辿り着くのか気になります。
川は北上し、宮城県に入り東に進路を変えて、太平洋に注がれます。
妙に寒いと思ったら、路面が凍ってました。今年一番の冷え込みかもしれません。
小峰城太鼓櫓。
太鼓の為に櫓が必要なのかと思いましたが、よく考えたら時を知らせる大切な役目を担っているので、櫓にしてもおかしくありません。
街の時計台の様な役割ですね。
小峰城。
街道歩きの復路は温故知新。
大袈裟ですが、往路の時は歩くのに精一杯で余裕がなく、観たいけど観れなかった場所がいくつもありました。
復路は先を急がず、観たいものを観ることに決めてましたので、先ずは小峰城に寄り道。
下の画像は、2022年1月に往路で到着した後、時間が遅く寄り道できず、白河駅のホームから指を咥えて眺めた小峰城の姿。
狭間(さま)。
戦闘の際に弓矢や鉄砲などで攻撃する為の穴。屈み込んで街の姿を覗いてみました。
この穴から覗いてみましたが、案外と小さくて見づらく、ここに銃や矢を入れて攻撃するのは、至難の業だと思いました。
駅のホームの目の前に城がある風景。
ありそうでなかなか無いのですが、今年の夏に歩いた西国街道は、三つの城が駅の目の前にありました。
何故西国街道にそのケースが多いのか。
瀬戸内海沿岸の城は防衛上、海の目の前に城を建てておりました。
鉄道は明治維新以降に建設されたので、城の目の前の埋立地に建設されたケースが多かったからと思われます。
白河提灯祭り。
約400年の歴史があり、毎年9月に開催される鹿嶋神社の大祭。
市の広報誌では日本三大提灯祭りのひとつとも謳っていますが、一般的には福島"二本松提灯祭"、秋田"竿燈祭"、愛知"尾張津島天王祭"が三大提灯祭りの様です。
3.白河宿
前回往路で来た時に歩けなかった、街道と並行する門前通りを本日は歩いてみます。
桝形と聖堂の組合せ、街道を歩いてきた中で、初の組み合わせで新鮮でした。
関川寺。
門前通りの名の由来となっているお寺なのか定かではありませんが、紅葉と黄葉のハーモニーが見事な、風格のある参道でした。
門前通りは桝形が三つもある、立派な道でした。再び街道に合流します。
門前通りから街道に合流した付近から地名が、一番町・二番町と始まり、この先宇都宮方面に向かい九番町まで続きます。
金刀毘羅神社。
参道の奥に、黄色い絨毯=イエローカーペットが敷き詰められてます。
境内の時が止まっています。
落ち葉を踏む足音と、ひらひらと舞う黄色い葉、静寂に包まれた幸せな時間でした。
4.南湖公園
再び街道から逸れて、前回行けなかった南湖公園と白川の関に向かいます。
南湖の周辺に、上の画像の様な和歌の碑がいくつも建てられてました。
雅やかな風景ですね。
紅葉。
どんよりとした曇り空でもこの美しさなので、晴れていたらどれだけ美しかったことか。
南湖公園は、松平定信が"士民共楽"(身分の差に関係なく誰もが楽しめる)という理念のもと1801年に築造。
当時の庭園は庶民が立ち入れなかったので、かなり画期的な公園であったと思われます。素晴らしい考え方ですね。
5.東山道
いつも思うのですが、処理施設は街道を歩くと大抵、市区町村の境界の峠道のピーク付近や川の近くにあります。
一番大切な生活インフラの一つなので、市役所などと一緒に街のど真ん中に作るって、政策的にあり得ないのかと思います。
人口密集地に近いので、収集車の移動時間短縮や、住民のゴミに対する意識向上につながるし、いずれ人口減少でコンパクトシティ化して行くので、課題先進国の日本がそんな仕掛けしたらクールだよなぁ、などなど考えながら歩いてました。
何もない山道。
この道はかつての東山道だったと思われます。ひたすら何もない道でした…
集落が見えてきました。
一里くらい民家が無かったのでホッとします。
庄司戻しの桜。
一本だけポツンと立つ桜の木、新緑が眩い春に満開になるのでしょうね、訪れたくなる場所です。
6.白河関
ペポカボチャ。
時々目にする小さなカボチャ、個人宅の玄関先に飾ってありました。ペポとはウリの事です。
白河関跡。
東海道にある立派な関所跡程の期待はしてませんでしたが、横川の関所跡の門程度はあると思ってましたが、石碑一本と説明看板だけでした。
古すぎる為、情報が足りなくて復元する根拠がない為かもしれません。
AIの出番ですね!
手打ち中華やたべ。
楽しみにしてたら、私の前のお客さんで本日終了…12:30頃なのに、人気店なのですね。
ラーメン屋さんが目の前でオーダストップになりましたが、そば祭りをちょうどやっており、命拾い。
寒いので熱燗を所望しましたが、アルコール提供無し…。ここまで公共交通機関や歩きで来る人いないですもんね。
さて、白河の関は奥州道中から大幅にそれてますので、90分くらい山道を歩きます。
街道ではない道を歩く時のモチベーションは極めて低いです。低くなったモチベーションを高めるのは街道しかありません。
久々に街道に出会った瞬間の安心感は、歩いた人にしかわからない独特な世界観。
久しぶりに大切な人に会う感じかも!
街道が見えてきました。
ホッとしますね。
7.再び奥州道中に
街道に合流した付近、那須町の寄居地区。旧道の一帯に赤い屋根の家が密集しており、今日は紅葉も手伝って、更に道筋が赤く染まっていました。
畑の中に、石庭の岩と同じ様な佇まいで、岩が鎮座してます。
気のせいか周りの風景も、庭園風に見えてきます。
様々な街道を歩きましたが、ここまで馬頭観世音が多い道はありませんでした。馬を大切にする文化があるのですね。
この付近から南に30km位の場所にあった馬頭町、2005年に市町村合併で那珂川町になりました。町の名前の由来と思われる馬頭院という寺があるので、馬を大切にするこの地域の風習が、馬頭観世音の多さに関係していると思われます。
黄色い橋。
国道294号に黄色い橋が他にもありました。
黄色を見ると今年の夏に歩いた西国街道の山口県内の風景を思い出します。
山口県内のガードレールが黄色いのです。山口県の知人曰く、由来は萩が夏みかん発祥の地だかららしいです。
合わせて、JR西日本の車両も黄色いで、瀬戸内地方の豊かな海に反射する陽光をイメージしています。
板屋の一里塚。
東西両塚が切り通しの左右の法面の上にあるという、珍しい残り方です。
べこいしの碑。
こんなに立派な碑文があるのですね。
往時の人々が、どんな風に感じて読んでいたのか、見てみたくなります。
8.芦野宿
新町地蔵尊。
傍に沢山の栗の実が置いてあります。慕われているお地蔵さんですね。
屋号付石灯籠。
芦野宿の街中に入ると、ほとんどの家の前に、屋号付石灯籠が置かれています。
何故そんな贅沢な事ができるかというと、この付近から国道294号に沿って白川方面が芦野石の産地だから。
歩いていると採石場の気配を感じられませんでしたが良質な石の様です。
石の美術館 STONE PLAZA。
往路で歩いた際は、バスの時間に追われており立ち寄れず、今回楽しみにしていた施設でしたが、来年の2024年春まで改装工事中。
街道の神様は、また次の機会にと、三回目の歩く楽しみを残してくださりました。
桝形が見事だったので、写真を撮影して見惚れていると散歩中のご婦人が、この上の三光寺さん、ご利益が叶うわよと強く推してくるので、勢いに負けて普段お寺さんにはあまり寄らないのですが、珍しくお願いしちゃいました。
河原町地蔵尊。
街の入口と出口には、この様に地蔵尊や神社があり街を護ってます。
あと少しで温泉、楽しみです。
9.芦野温泉
只今の時刻16:43。
山間なので一気に暗くなります、彼方のイルミネーションは何だろう、灯りがあると暖かみを感じます。
足尾大神石碑。
足尾山の山岳信仰で、足の病が治ると言われている。街道を歩いていると、足に関する社寺仏閣や石碑に敏感になります。
三国街道湯沢宿の北、石打の街中の子之権現、沢山の草鞋が掛けられていました。ちょうど足のマメに苦しめられていたので、ホッとした想い出が残ってます。
三国街道、群馬から新潟の日本海まで、三国峠などの山を越える道。今まで歩いた街道で最も過酷でした。ご興味がある方は↓
芦野温泉。
前回歩いた時は日帰り入浴でした。とにかくお湯が良くて、湯治場として今も利用している人がいるくらいの泉質。
一ヶ所の薬湯が強烈で、敏感な部分がピリピリします。
最初はそれを知らなくて焦りましたが、風呂を出た後に家内に聞いたら同じだったらしく、歩きながら大爆笑してました。
人気の温浴施設で日曜日なので風呂上がりの18時過ぎは食場処が超満員、一人では食べずらいので部屋で飲んでから、オーダーストップ間際に滑り込み。
前の席ではお父さんがイビキをかいて、気持ちよさそうに熟睡、平和な光景ですね。
上の画像が本日の装備品。
冬の装備は早朝の時間以外は身につけない防寒具を如何にコンパクトにするかがポイント。宿泊先の洗濯機があるかで、装備品の計画は大きく変わります。
さてと、
明日の朝の温泉を楽しみに寝ます。
今回の記録は、復路なのでかなり寄り道をしています。正確なルートは往路の記録を参考にしてください↓
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