奥州道中 復路3 大田原宿→氏家宿
街道の復路歩きは温故知新。
2年前の真冬の景色と比べたり、立ち寄れなかった場所に寄り道しながら、焦らず急がず、のんびり歩む、みちのくからの一人旅。
2023.12.02
1.スタート地点まで
筑波山。
上の画像の付近が私の故郷、茨城県総和町、合併して現在は古河市。毎日筑波山が見える生活を送ってました。
関東平野のど真ん中にぽつんと佇み、標高877mしかないのですが、あちこちから見えます。
三つの街道からの筑波山の姿です↓
奥州道中からは見えるでしょうか。
2.大田原宿
良い天気です。
宇都宮まで45km、一気に進むか、温故知新で、なかなか前に進まないか、気の向くままに歩きます。
東宝食堂。
前回立ち寄れず今回も立ち寄れず。とても気になる店、次の機会に来る予感がします。
那須与一公、大田原の英雄です。
宿場町の入口の薬師堂。
町の出入口には、神社やお堂が高い確率であり、町全体を護ってます。
青鷺。
近くで見るととにかく大きくて驚きます。体長は1メートル弱、翼を広げた幅は1.5メートル以上、体重は1キロ超もあります。
ちなみに鳥の体長とは、クチバシの先端から尾羽の先端までの長さ。
街道を歩いていますと、田んぼでよく遭遇する白鷺の1/10位の頻度で青鷺を目にします。白鷺と比べると色が目立たないので、本当はもっといるのかもしれません。
街道歩きで青鷺に最接近したのが、雨の中山道を西に向かって歩いていた、関ヶ原を過ぎた付近。
こっちも大き過ぎて驚きましたが、向こうも驚いてすぐ飛んでいってしまいました↓
次の画像は、西国街道の山口県宇部市厚東川沿いを西に向かって歩いていた時の求愛行動の様子。
2羽が浅瀬でずっと向かい合い、翼を広げたり閉じたりを繰り返してましたが、なかなかうまく行かなくて、可哀想ですが少しコミカルでした↓
3.親園
伴さん。
以前栃木県で12年勤務しており、週末に湯西川温泉に遊びに行った時に、伴さんが多く、その名の由来を聞き関心した事を思い出しました。
伴の字のつくり"半"の四画目の"一"を上にずらすと"平"になるので平家落人である、という話。
この付近は、源平屋島の戦いで源義経の命を受け活躍した那須与一の故郷なので、不思議な光景でした。
川に水草が生い茂っていて、とても綺麗です。
親園地区には、立派な門が残っている家がたくさんありました。
かつては代官の出張陣屋があったので、その影響かもしれません。
箒川。
塩原温泉の上流を源に東に流れ那珂川に合流する、那須野が原扇状地を代表する河川。箒川を渡り佐久山宿に入ります。
4.佐久山宿
島崎酒造跡地。
かつては友白髭という銘柄のお酒を販売、現在は廃業しています。
サザンカ(山茶花)と椿の違い、咲いている姿だけでは判別ができませんが、散っている姿で判別ができます。
花弁が一枚一枚散るのがサザンカ、花が丸ごと落ちるのが椿です。
椿を見ると、椿三十郎という黒澤明監督の映画を思い出します。
どの映画も素晴らしいのですが、私は一番好きな作品です。
前回歩いた時の、水色の壁に赤い屋根の観音堂が美しかったので、同じアングルから撮影してみました↓
1991~2001年まで栃木県で旅行会社で営業職の仕事をしていた頃、太田原のゴルフ場に営業に来ていました。
ゴルフ場は閑散期である2月の平日に、大人数で職場旅行をするのですが、旅行会社も閑散期。
寒いことを除けば、とてもコストパフォーマンスの高い旅行商品を提案して販売できるので、楽しく良い仕事が出来ました。
梨園では、農家さんが丁寧に芽の剪定の様な作業をしてました。
来年も美味しい梨が実ります様に。
5.微笑み仏
磯嶋肥料店の看板に、無人ヘリ空散と書いてあります。
子どもの頃ヘリコプターが農薬か肥料の様なものを巻いている風景を見たことがありましたが、無人だったのですね。
ドローンみたいな存在が、実は昔からあったという事実に驚かされました。
山道に入ります。
単調な道が続き飽きてきたので、とても嬉しいです。
マムシ草の実。
毒々しい色と形なので、すぐにわかります。
最初に出会ったのは秋の甲州道中の笹子峠。この時は衝撃でした。
その後、春に日光例幣使街道の杉並木の中を歩いていた時に、動植物好きの家内が蛇の様な形をした、不思議な草の芽を発見します。
これひょっとしたらマムシ草の芽では?
とGoogleレンズで検索すると大当たり。
脱皮途中のマムシ草、なんだか魔法のような草ですよね。
成長して、蛇のような皮が剥けると、普通の葉っぱになり、周りに溶け込み目立たないので、赤い毒々しい実がなるまでは気がつきません。
キィキィと豚の鳴き声が聞こえてきましたので養豚場です。
私が子どもの頃育った茨城県総和町は、牛・豚・鶏の畜産農家が揃ってましたので、耳と鼻でどの生き物か判断できます。
豚の牧場があり繁殖期には、自宅から1km以上離れている筈なのに、物凄い鳴き声が聞こえてきました。
一般的に豚舎の近くはかなり臭いがきつい筈なのですが、アオノファームはこれだけの大規模農場なのに、あまり臭いません。
育て方に拘っていると思われます。
6.喜連川宿
この坂道、前回は雪が積もっており、滑らないように気を付けて歩いた事を思い出しました↓
突抜き井戸。
地面に直接パイプを打ち込み水を汲む井戸で、狭い場所でも掘る事ができる工法。
水筒の水を入れ替えました、本当に美味しかった!
日本三大美肌の湯。
こんな日本三大もありなのですね。残りの二カ所は佐賀県嬉野市・嬉野温泉、島根県奥出雲町・斐乃上温泉です。
昼食会場の竹末本店。
店の看板に、男・ロマン・ロックンロールと書かれています。
入ると納得、矢沢永吉の音楽がガッツリと流れてました🎶
7.御用掘と寒竹囲
御用掘。
生活用水が往時の形のまま残されています。
水は流れていませんでしたが、一時はまちづくり事業で鯉を放流していたそうです。
神社の賽銭箱の上につるされている鈴の部分を"本坪鈴"、紐の部分を鈴緒と呼びます。
喜連川神社の鈴緒の色が、ドラえもんにしか見えなくて、いろんな夢を叶えてくれそうでした。
寒竹囲の家。
とても暖かみがある塀で、見た限りは4件残っており、ちょうど住民の方がお手入れをしてました。
かつては板塀は維持管理が大変という理由で推奨されましたが、これからどうなるのか、個人が維持するのか、文化的視点から自治体が保全を補助するのか、難しい判断が迫られると思われます。
勝善神。
馬の神を祀ってあり、江戸時代後期から北関東東北方面に造立、明治大正時代に最盛期を迎えました。
8.弥五郎坂
心温まる風景。
道端のお地蔵様の周りには、生花が生けられてました。
この様な道、簡単に歩けてしまいますが、歩きやすい様に残す事は、大変な手間がかかっている事と思われます。
台風などでの倒木・崖崩れ対応や、夏から秋にかけての草刈りなど、行政や地域の皆さんの努力に感謝して歩きます。
早乙女温泉。
前回歩いた時に入りましたが、湯治場の雰囲気が見事に残っており、雰囲気が良すぎて、夕日を浴びた湯船の光景の余韻が今でも蘇ります。
牧草ロール。
牧草を丸く巻いて固めたもの、近くで初めて見ましたが、白い紐で巻かれているのですね。いつか作っている風景を見たいものです。
9.まばゆい時間
街道歩きでは、夕陽に向かって何度も歩いてきましたが、今日は眩しくて前が見えません。
角度がピッタリ合うと、ここまで見えなくなるとは知りませんでした。
本当眩しかったです…
10.氏家宿
瀧澤家・村上家、見応え十分の屋敷が並びます。瀧澤家は往路で歩いた時に立ち寄ってます。
中にそびえる望楼は、明治天皇行幸の際に建てられ、和風建築と調和して、氏家のシンボル的な建物になってます。
これは珍しい、商店街のゲートに時計がついてます。
光明寺。
普段はお寺さんには、遠慮して入らないのですが、山門の奥に輝く不動明王に引き寄せられました。
お香を炊いて、無事歩けた今日一日に感謝。
今日は一気に宇都宮宿までと思いましたが、到底無理でした。
次回で目的地の宇都宮宿に到着予定です。
今回の記録は、復路なので脱線しています。正確な内容は往路の記録を参考にしてください↓
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