見出し画像

なんとかなった『1枚絵動画投稿祭』

40年来の悲願達成

「火事と喧嘩は江戸の華」とか言いますが、毎度地味なトラブルに見舞われる、番組名義での楽曲制作。

今回は『初音ミク16周年記念 1枚絵動画投稿祭』に投稿しました。

楽曲についてさらっと書くと「40年以上やりたかった自分のルーツ音楽を作り上げた98秒」「初音ミクをセンターにして、年長者(年齢未設定)のキャラたちがバックで盛り上げる曲」です。

大野雄二さん経由バート・バカラックからの60年代コーラスポップス、という個人的な音楽探求を、DAWアプリと5人のバーチャルシンガーの力を借りてやれたということです。

これ、会社の同僚や同級生を集めて「バンドやろうぜ!」では絶対作ることのできない音楽なので、ホントにテクノロジー万歳であります。

過去最悪の遅刻ぶり

しかし、今回ほどスケジュール的にヤバかったことはありません、マジで。
12月10日の最終日、〆切とされる17時の1時間45分前に投稿という、これまで番組で応募したニコニコ投稿祭最遅記録をレコードしました。

動画に使う下絵が投稿当日になったなどの土壇場はあったものの、肝心の曲が投稿期間に入ったのに仕上がらない、というのは初めてのこと。
今回作曲とアレンジを担当している身なので、もともとは自分に非があるんですけれども。

仕事でいろんなトラブルに巻き込まれて忙殺され、サビまでできたのが12/6(水)の夜中、というか12/7(木)の未明。

24時間後の8日(金)0時には投稿が始まるというタイミング。
そしてミクさんのパートをVSQXデータに起こし、清水藍に託したというギリギリっぷり。

さらに投稿当日の朝も、職場のスタジオであーでもないこーでもない、と歌詞をいじっていました。
『らじみく通信』で愚痴るネタが、まあ捗る捗る。

ホント、よく間に合ったもんですわ。

「楽耳未来神社」の真逆

今回のタイトル「Peppermint Rainbow」は、1969年4月に「Will You Be Staying After Sunday」という曲を全米ヒットさせたグループの名前です。

ちなみに1969年4月は、拙者★みくばんPの誕生した月であります。

イラストのアイディアを清水と話していた時、彼女から「虹」というキーワードが出て、このグループ名をふと思い出し、イラストと曲のタイトルにすることを決めました。

そして音楽的にはテクノ寄りの「みそみそうみゃあ」「楽耳未来神社」とは、あらゆる意味で真逆のアプローチをとることも決めました。

その「真逆」となったものを書いていきます。

ルーツ音楽を再現

今回挑んだのは、僕の音楽ルーツでもある60年代後半のアメリカンポップス。

時代的には1966年から1970年あたりの楽曲で、後に「バブルガム・ポップ」「ソフトロック」のジャンルに括られる、複雑なコーラスワークが特徴のポップスです。

いわゆるオールディーズと、洗練されたカーペンターズのミッシングリンクにあたりますが、超名曲「アクエリアス」でビルボード1位を獲得したフィフス・ディメンションですら、日本ではあまり知られておらずショボーンであります。

5人のコーラスグループ

コーラスは男声と女声の組み合わせで中性的なハーモニーにしたいなと思い、以前にMobile VOCALOID Editorで購入していたキャラクターのうち、GUMIと氷山キヨテルでハモらせてみたらイメージ通り。

氷山キヨテルは一度だけ使ってみたことがあったんですが、今回ソプラノパートで使ってみたら、中性的な声でものすごく合いました。

そしてGUMIも4年ぶりくらいに使ってみました。どう歌わせても「歌の上手い人」になるGUMIはクリプトンズと今回コーラスの要になっています。

そして投稿曲では4曲連続登板のMEIKO、そしてKAITOを加えました。
そうですのよ奥さま、このたびKAITOをお迎えしたのですよ。

KAITOは中低域の存在感が強いので、コーラスのアルト、バスパートで使うと全体が締まるんですよね。

なお、ミクさんのリードはいつものように清水が調声したV4Xですが、今回は先にメロありきで、まとわりつくように4人のコーラスを作っていました。

気持ちいいハーモニーを追求するとテンションコードになりやすく、他の楽器とぶつかる箇所が多々あって、直してるうちに迷子になってしまう事態にもなりました。

レイト60’sサウンド

この曲は1分30秒強のTVサイズと、かなり短いものになりました。

曲調は現地でもほとんど無名なThe Groopという名のグループの最高にカッコいい「The Jet Song」(1969)、前述したフィフス•ディメンションの1966年の大ヒット曲「ビートでジャンプ」(原題Up,Up,and Away)をモロ引用最大限にリスペクトしました。

実は当初「楽耳未来神社」と同じリズムで想定していて、イントロからAメロまでRoland SH-4dで作ったんですけど、試しにコーラスを重ねたら違和感しかなく、生楽器系の音色が豊富なKORG Gadgetで作り直すことにしました。
つまり、MEIKOとKAITO以外の曲作りはiPadがメインとなり、ミックスと仕上げはCUBASISを使用しています。

最初はiOS対応のRolandのS-1を繋ぎ、手弾きしたものをエディットしましたが、そのうち本格的に時間がなくなり、直接ピアノロールをタッチペンで弄るようになりました。

こちらに根性のオフボーカルトラックをアップしましたので、ご堪能ください。

今はもう、自分を褒めたい

清水によるイラストは順調に仕上がっていたものの、僕自身がトラブルに巻き込まれがちだったので、この曲にかけられた時間は実質24時間なかったと思います。

そりゃ出来上がったものについて、ちゃんと3コーラス作りたかったとか、ミックスが甘いなとか、いろいろ反省点はありますけど、まずは完成させられたことを誇りたい。

そしてそんな中で、僕が幼い頃にブラウン管から鳴っていた、甘くスマートなコーラスポップスを、ほとんどiPadで作れたことに感謝したいのであります。

ある意味、2年前のこの曲に近いアプローチかもしれません。

ひとまず最もやりたかったことを終えられたので大満足ですが、次のボカコレってもう2月じゃねえか、というところで、年末年始はまたアイディア練ります。

いいなと思ったら応援しよう!

みくばんP
ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。