スーツ恐怖症
親から受け継いだ高コレステロール体質、隔世遺伝による根性のない毛根以外、これまで大きな病気もかからず過ごせています。
いやもう、それだけでありがたい。
ただ自分の身体で唯一、売りたいくらいイヤなところがあります。
それは汗かきという体質。
その排水量、尋常ではないのです。
夏は二度風呂に入ったり、着替えや洗濯回数が増えたりと、光熱費が他人の倍かかるわけです。
汗かきを自覚したのは、小学生の時にイヤイヤやっていた学区のソフトボール大会でのこと。
友だちからユニフォームの汗染みを指摘され、それから意識するようになったのです。
松ヤニ程度の粘り気があればいいものの、噴き出してすぐに足の方へ流れ落ちる有り様で、ひとりだけ雨に打たれたようにずぶ濡れなのです。
おまけに暑がりのため、エアコンは22度あたりがちょうどいい設定。
僕がリモコンの主導権を握ると、周囲の人間を確実に凍死へ至らせてしまうのです。
そして暑さで汗をかいた後は、ただひたすらに廃人で、やる気のない置き物に身を堕とすのです。
僕が積極的に自分から他人と交わろうとしないのも、この体質が影響しています。
さらに困ったことに、僕の汗腺は熱い食べ物、辛い食べ物にも過剰反応します。
炊き立てのご飯や回鍋肉などは温かいほど美味しいものですが、食べ始めて1分ほどで汗をかき始める始末。
もちろん名古屋名物「台湾ラーメン」も例外ではありません。
挽き肉の香ばしさとトウガラシの刺激がたまらない逸品ですが、口に入れて30秒もしないうちに、全身がナイアガラの滝に変わります。
結婚して初めて義理の両親が名古屋に来た時、台湾ラーメンを一緒に食べて「身体大丈夫?」とドン引きされたくらいの大水害なんですよね。
ちなみに、熱い食べ物も辛い食べ物も大好きですよ、汗はかきますけど。
台湾ラーメンを食べたくなったら、クルマでひとり近所の味仙に行き、食べ終わったらカーエアコンMAXでクルマを走らせ、帰宅したら速攻シャワー、その間は誰にも会わないルーティンなんですよね。
こどもの頃から「歳とったら汗をかかなくなるから早く大人になりたい」と思ってたんですが、コロナ禍を挟んで54歳になり、むしろ発汗量が増えてきている気がしてます。
そもそも現在住んでいる名古屋国、温暖化だかなんだか知りませんが、この20年ほどで熱帯気候と化しました。
そんな南国名古屋で、この時期にスーツを着るのは自殺行為なんです。
しかも管理職による会議は、偉い人に合わせてエアコン25度以上。
スーツから解放されるなら、降格も辞さないほどつらいのです。
実質全裸なんだけど、周りからは着てるようにしか見えない、そんなスーツありませんかね。
ああ嫌だ嫌だ。