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Rolandさん、唐突に集大成シンセを発売してしまう。
仕事があまりにドタバタしていて、なかなか取材ができず記事が書けなかったんですが、Rolandが2月にさらっとすごいシンセサイザーの発売を予告、3月に発売されました。
マジこの先どうするの?
2019年以降ハードやソフトがすべてZen-Core音源仕様となったRoland。
正統派シンセFANTOM、JUPITER-X、JUNO-XシリーズにグルーヴボックスMC-101/707、プラグインシンセZENOLOGY、さらにはエレピシリーズRD-88に至るまで、音源が共有化されるようになりました。
最安値のMC-101ユーザーとしてはめちゃくちゃ恩恵を被ってるわけですが、一方で不安もありました。
「Roland、マジこの先どうするんだろう」と。
ハードが行き渡ったとしたら、Zen-Core音源のアップデートを餌に、Roland Cloudに加入させてサブスク路線を突き進むんでしょうが、そうなるとハードはもう出ないのかなと。
そんなことを心配していたら、なんと13年ぶりのSHシリーズとしてSH-4dの登場ですから、なにしろ。
SHの名にかけて
SHシリーズと言えば、1973年に国産シンセ初号機となったSH-1000以降、2010年にGaia SH-01まで続く大衆向けシンセサイザーブランドです。
特に1982年製のSH-101は、いまやSHブランドを代表する機種となっています。
2014年製のSYSTEM-1では最初のPLUGOUTモデルとなり、2017年にはRoland Boutiqueブランドでリファイン機種SH-01Aが発売され、ACBやZen-Coreといった新音源が登場するたび、ゾンビのように復活しているのです。
アナログモノフォニック機のブランドだったSHシリーズは、VAポリシンセとなった今なお、エントリーモデルのポジションにあると思われます。
しかし、今回のSH-4dは音作りのみならず単体でトラックメイクを完結できるシーケンサー、D-MOTIONやビジュアル・アルペジオといった新機能により、シンセサイザーの基本スペックを底上げする意欲作となっています。
SHというよりMSな件
SH-4dは、製品ジャンルとしてはあくまでシンセサイザーのようです。
無骨なデザインのパネルはかつてのSH-1やSH-2を連想させますが、それらと違うのはSHシリーズの特徴だったスライダーよりもノブの方が多く並んだところ。
KORGのMSシリーズを思わせる印象です。
FILTER以降のパラメーターを見ると、何ができるのかだいたい想像はつくものの、やはり実際にどんな音がするのか試してみたくなってきます。
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ローランド製シンセのアイデンティティであるスライダーは4つにまとめられています。
音作りの際は、左上のLEDと連動して、音源ごとにまるで違う役割(主にオシレータとして)を果たします。
さらに、このSH-4dには4台の独立したシンセパートとリズムパート、そしてこれら5パート分のシーケンサーが内包されており、音色ごとまとめて(もしくは別に)パターンとして記憶されます。
MC-101/707同様にグルーヴボックスと見ることもできますが、かつてのMC-303などのようにひとまとめにパターンとして扱えるため、シンセおじさんにとってもわかりやすくなっています。
パターンモードでは4つのスライダーが各シンセパートに対するミキサーとして機能します(リズムパートのみTIMBLEノブ)。
パターン演奏中にノブで音色を変化させながら、トラックをミュートしたり、スライダーで展開を作るだけでも没入できそうです。
もちろんパターンを繋いでまるまる一曲作ることもできますし、パターンごとに音色やテンポ、エフェクトも個別に記憶されるため、別のパターンを呼び出せば、異なる曲を繋ぐようなDJプレイも可能です。
ただし、ソング機能やチェーン機能はありませんので念のため。
音源てんこ盛り
そしてSH-4dがシンセサイザーである所以。
それぞれの音色は、VA音源、ビンテージ機種のモデリング、PCM音源、ウェーブテーブル音源など、11の異なる音源から選ぶことができるのです。
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デフォルトとなるSH-4dオシレーターは、4つの波形がミックスできることから、てっきりZen-Core同等の仕様かと思いきや、選択できるのはVA波形のみ。
またフィルターにはドライブなど独自の調整がされているようです。
オシレータータイプには前述のSH-101とJUNO-106の、ビンテージ音源も含まれています。
ホントRolandの皆さん、SH-101が好きねえ。
さらにフィルター以降のパラメーターは、20以上備えられたノブでフィジカルに操作できますが、弄れるのはこればかりではありません。
ポリ/モノ、ポルタメントなどの設定の他に「モジュレーション・マトリクス」という機能があり、パッチング感覚でエンベロープとLFOを内部で4つまで繋げるため、プチモジュラーのように複雑な音作りも可能です。
一方リズム音源にも、レイヤーでPCM波形とVA波形を重ねられるので、5トラックとは思えないアレンジも可能です。
エフェクトはパターン全体にリバーブ・コーラス・ディレイとMFX、パートごとにTONE MFXが設定できます。
MFXはそれぞれにZen-Core音源同様に93種類のエフェクトが選べます。
ちなみに取説の半分がエフェクトの説明に費やされているのも他製品と同じ。
生楽器音源のバリエーションは少ないですが、テクノ方面であれば、オールインワンシンセとカテゴライズしていいと思います。
AIRA以降の集大成
この10年で購入したRoland製品の中でも、頻繁に使っているのはSYSTEM-1とMC-101です。
前者は直接ノブやスライダーでかゆいところに手が届くインターフェイスが、後者は電池で動くコンパクトな筐体と膨大な音色、多彩なエフェクトが気に入っています。
このSH-4dはそれぞれのいいとこ取りという印象です。
いや、AIRAの立ち上げから10年の集大成と言っていいんじゃないですかね、AIRAじゃないけどコレ。
ノブとスライダーで音作りに没頭できるオールインワンシンセ、と考えると、シンセおじさんにとってはドリームマシンと言えます。
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標準鍵盤を求める声もありますが、店頭で弄る限り、想像以上に弾きやすかった印象です。
ピアノ音源を鳴らしたい時はMIDIキー繋げればいいし、テクノ特化型として考えれば単体使用で問題ないかなと思いました。
それと重要なのは電池で駆動できること。
バッグに入れて持ち歩けるということの方が個人的にはメリット大です。
さあ、あとは購入資金だぜ()
(5/4)
買ってしまいました。
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