ないから作ってきた結果。
備忘録がほしい
『RADIO MIKU』が無事に改編を乗り越えました。
「プロデューサーが変声部長だから突破なんて余裕でしょ?」というのは大きな誤解です。
ある時期になると週1回程度のペースで改編に関する会議が開かれます。
ここには変声部のみならず、制作、営業の責任者やデスク、そして時には偉い人も出席し、タイムテーブル案を隅から隅まで眺めます。そして
(中略)
ということで、拙番組はなんとかこの会議での戦火から逃れられたということです。
いや、変なところから汗をかいちまったぜ。
で、番組があげてきた功績や今後の展望がスラスラと口を突き、会議出席者に伝わればいいのですが、拙番組の場合、担当者個々のスキルに紐づくものが多く、口頭では説得力に欠けます。
さらにあれこれ手を出し過ぎて、担当者の記憶から脱落している場合もあり得るのです。
何か他人に番組のことで聞かれたらさっと見せて、必要な場合は動画に直リンして…というものがあればいいなと考え始めました。
幻のガイドブック企画
ちなみに『RADIO MIKU』は開始からまだ2年とは言え、放送時間が変わっていることもあって、各種データからリスナーが意外と流動していることがわかっています。
タイムラインを見るだけでも、もう何ヶ月も聴いてないと思しき方もいれば、今年ずっと聴いているという方もいます。
昨年の『らじみくサミット2』すら知らないリスナーも結構いるかもしれません。
その情報格差を埋め合わせる意味もあり、昨年作ったのが、番組のオンラインブックレットです。
2021年の「マジカルミライ」でブース出展した際、ノベルティのひとつとして、『らじみく史』なるパンフレットを作って配布しました。
これは、清水藍が新規リスナーでも安心して後追いできるよう作ったものでした。
このパンフをきっかけに、昨年1月の『らじみくサミット2』グッズとして企画したのが、「公式番組ガイドブック」でした。
僕は気に入った映画では必ずパンフレットを購入してしまうんですが、それこそ「マジカルミライ」や『初音ミククロニクル』のビジュアルブックのように、『RADIO MIKU』でも書籍を作りたかったんですよね。
番組が始まって1年というタイミングなので、16〜20ページの薄い本想定でしたが、見積もりを取ってみたら意外とコストがかかり、最終的に断念しました。
途中まで作っていた素案からテキスト要素を省き、番組CD『ごはんのうた』のブックレットへと姿を変えました。
この時にカットしたテキストの一部は、直後の3月に作ったローカル局への番組セールス資料に流用しています(残念ながら今のところ反応なし)。
MIKU EXPO リスペクト
『サミット2』が終わり、『EX』が終わり、「未来への手紙」でのボカコレ参戦と連続していたドタバタが収まった頃、このイベントを視聴しました。
ページ下段にあるPDFの「ガイドブック」が妙に気になりました。
このガイドブック、2021年版を見た時は「カッコいいなあ」と思った程度でしたが、ふと、これよくない?なくなくなくなくない?と、A4横版に変えて、真似しリスペクトしたのが、我らの「オンラインブックレット」となったわけです。
試しに作って清水に見せたら、珍しく褒めてきたので、それならとクリプトンさんにも確認いただき、リスナーサービスとして無料配布することにしました。
もちろん、ローカル局関係各位に興味を持っていただいて、番組セールスに繋げられたら最高とも考えました(残念ながら今のところ反応なし)。
印刷物ではなく、オンラインにしたのは、すぐに更新できるから。
PDFにしたのは、番組ページのようにレイアウトの心配をしながらソースコードを書く手間が要らないからです。
DIYマーケティング
この2年を振り返ると、初音ミクを題材にしてるから曲を作るのはともかく、イラスト、動画、フィギュア改造、CD、そしてオンラインブックレットといろいろ作ってきました。
そして困ったことに、それぞれ2回目にはテクニックを磨いたり、要領がよくなってしまっているのです。
僕たちはラジオ局の人間だから、ラジオ番組さえ作っていれば誰も怒らないとはわかっています。
ところが「初音ミク文化」を知れば知るほど、「もしかして俺もできちゃったりして」と、自分の手を動かさずにはいられなくなるんですよ。
誰かの作品にインスパイアされて作り始めると、どんどん良くしようと凝ってオリジナリティが出ちゃうのも困ったところです。
でもこれって、道の駅で売ってる野菜に、生産者の名前や顔写真を入れてるような感覚もあるんですよ。
メディアの人間は、概して猛烈に嫌われています。
そんな中で「どういう人間が『RADIO MIKU』を作ってるのか」を知ってもらうことで、安心して番組を聴いてもらおうという思いはあります。
そして何かしらの反応を聞いて、番組を続けるためのマーケティングを、自分でも無意識にしているのかもしれません。
商売下手
僕が作ったものを羅列して気づいたのは、CDを除きほとんど商売にできてないんですよね。
単に商売下手なのかもしれませんが、自分で作っちゃうと「こんなオッサンのハンドメイド、買う奴いるのかな」と思っちゃうんですよ。
ちょっと家でうまいシチューが作れたからって、明日から店を開こうとは思いませんから、普通は。
2000年代の初めなら、東京から出版だのメーカーだのプロフェッショナルが「一緒に作りましょう」なんて新幹線でやって来たでしょう。
僕は局の人間として、クリエイターにあれこれ注文つけてたと思うんですけど、残念ながら今はそういう時代じゃありません。
誰も作ってくれないから自分で作る。
まさにDo it Yourself。
この調子だと、定年する頃には事務所でも作る勢いですけど、商売下手だからやらないんでしょうね、たぶん。