企業研究:エフオンvsイーレックス②
どうも。こちらもう少し真面目に収益性・安全性・活動性・生産性・成長性分析を行ってみることとします。年度始めが微妙にズレていたり、素人が公開資料を基に手習いで行っているものですので、内容に誤りや誤解も多分にあるかと思いますが、何卒ご容赦くださいませ。。
こんな感じでざっくり一人財務分析をしてみました。同じような事業をやっている二社でも意外と違いが出るんですね。
収益性分析
ROA、ROEともに装置産業であるエネルギー業界にしてはとても優秀である。一方で利益率に大きな差があるのは、イーレックスについてはPKSの輸入コストが高いためであると想定されます。よって、事業としては必然的に薄利多売モデルを取るしか無くなってきますね。
エフオンについていえば、バイオマス発電業界のSPA的なポジションを目指しているため、相対的に原価価格が安くなっています。とはいえ、電力会社のうち化石燃料の比率が最も高い中部電力の2018年実績レベルでも売上高原価率は26.8%であるため、バイオマス発電事業は原価率がめちゃくちゃ高くならざるを得ない事業であり、安定的に長く事業を続けない限り収益が出にくいモデルであることがわかります。
安全性分析
続いて、安全性分析です。流動比率はFIT制度によって固定価格が保持されているためか、非常に安定しているといえます。一方で固定比率は比較的高く、特にエフオンは固定資産リッチですね。(こちらも中部電力は64%程度になりましたので、長期的な安定稼働によって徐々にこの比率を下げる努力が求められます。)一方、自己資本比率についてはイーレックスが極端に低いです。こちらは今後3つの発電所の新設計画を控えているためと想定されます。新エネ発電所の収益はFIT制度もあるため発電容量にほぼほぼ制限されてしまっているので、発電所新設以外に本業での収益は増やしにくい構造にあります。イーレックスは多少の経営安全性を犠牲にしてでも、将来的な流動比率嵩上げを目的にしていると推察されます。
活動性分析
活動性分析を見ると両社の差はさらに顕著ですね。手堅くゆっくり事業をくみ上げって言っているエフオンに対し、イケイケドンドンの収益拡大を企図しているイーレックス。ベンチマークとしている中部電力と比較しても、総資本回転率は50%程度となりかなり積極的です。EPSやEBSがイーレックスのほうが圧倒的に高いのもここらへんゆえでしょう。
生産性分析
ここは2社とも業界ベンチマークに比べて大きく小さいです。それほど手間がかからない利幅の小さいビジネス所以でしょう。中部電力は労働分配率34%です。イーレックスのほうが労働生産性が高く、資本生産性が低いのは、代理店販売を主としているため、販管費がかからないのが大きいと思われます。
成長性分析
ウサギとカメかのごとく、イケイケドンドン路線を続けるイーレックスと、確実に成長を続けるエフオンの差はここでも一目瞭然です。さらなる投資に向けてEPS面では差も出ているのですが、これは吉と出るのか、凶と出るのか。
最後に、PKSについてはそもそも海外から輸入している燃料ということもありますし、そもそも燃料としての需要も急増しているという面から、その成長性自体は懸念も上がっています。そもそもMETIもバイオマス発電事業自体、FITの枠組みから自立すべきというスタンスを貫いており、これまではイーレックスもイケイケドンドンでよかったのかもしれないが、今後は政府や競合の動向も注視しないと後戻り出来なくなってしまうようなリスクもはらんでいるように感じました。