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スオミの話をしよう

現在(2024年9月)公開の三谷幸喜脚本、監督の映画である。主演は長澤まさみでそれ以外に西島秀俊、松坂桃李などが出演する。非常に単純な感想であるが、面白い。

 三谷作品に精通しているわけではないが、いくつかドラマや映画を見たことがあり、正直ドラマは面白いが映画は飽きてしまう印象があった。あのノリで面白いのは1時間が限界というのが経験としてあったため、今回劇場で1000円以上払って見るのは少し勇気が必要だった。ただそれは杞憂で、時間が気になることがなく見ることができた。

非常に良かったのはこの映画は舞台的な演出に終始していたことなのだろう。主なシーンはスオミ(長澤まさみ)の現夫の家と飛行機(スオミの2番目の夫のプライベートジェット)の2シーンに限られ、登場人物も少なく、密室での会話に終始する。派手なアクションやCG、絶景や風景描写をいれたりするのが、映画という手法を生かした作品だと思うが、本作品はそういった要素が全くない。なので映画を好きな人にとっては映画にする意味がないように感じられるかもしれない。
 ただ、自分としては演劇と映画が見事に融合した作品だと思った。なぜなら劇場では遠すぎて見えない役者の微妙な演技や、一方向からしか見ない舞台では不可能なカメラワークが存分に生かされているからである。スポットライトが当たっている人の背後で各登場人物のキャラクターを演出する細かすぎる演技が、映画という手法では非常に生かされていると感じた。派手な演出や美しい映像がない分、そういった部分に目を配る余裕が生まれる。映画というフィールドを非常に無駄遣いすることで、ほかの映画とは一味違った作品に仕上がっていると感じた。
 舞台でやっても十分面白ものであり、むしろ映画でやる必要のないものをあえて映画でやることで、こういう面白いものができるのか、非常におどろかされる映画だった。
 最後にネタバレになるから詳しくは言えないが、長澤まさみは大変だなと思った。なので長澤まさみが好きな人はぜひ観たほうがいい映画だと思う。

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