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ニッスイのコロナ派遣切りを許しません 長期雇用のはずが、わずか4か月で雇止め

 【※この事件は派遣会社との間では和解が成立しました。皆様のご支援、ありがとうございました。しかし、派遣先ニッスイは団体交渉拒否を続けています。】

 総合サポートユニオンは、先日、日本水産株式会社(https://www.nissui.co.jp/)八王子総合工場で派遣社員として働くAさんの雇い止めの撤回を求め、派遣先と派遣元の両社に申し入れを行いました。

 ご承知の通り、政府はコロナによる派遣社員の安易な雇い止めをしないよう要請し、雇用調整助成金や休業支援金などの制度的な支援も行っています。こうした中で行われた今回の派遣切りを私たちは許せません。

 下記は組合に加入したAさんの文章です。

安易な雇い止めの成功体験を会社側に残したくないという思いで組合に加入

 私は派遣社員としてニッスイの工場の検査室で食品検査をしていますが雇用契約からわずか2ヶ月半で急に雇い止めを通告されました。

 「減産に伴う検査数の減少により人員削減の必要性があるため」という一見それなりの理由でしたが私にとっては契約の面でも雇い止め理由の面でも納得ができるものではありませんでした。

 何もせず受け入れればこの安易な雇い止めの成功体験を会社側に残すことになり、また別の誰かが安易に首を切られるだろうと考えた私はユニオンに加入し雇い止めの撤回を求めて交渉することに決めました。

「長く勤めてほしい」(派遣先)・・・「長期雇用」を期待させた沢山の理由

まず契約について3ヶ月更新の有期雇用契約ではありましたが

・求人広告には「長期安定」の記載があった
・契約時には10ヶ月の研修期間があり、3年後直接雇用になるという説明を受けていた
・派遣先からも長く勤めてほしいという意向を伝えられていた
・同じように働く同僚の勤続年数は少なくとも4年以上であった

 これらの理由から3年以上は働けるものと認識していました。

 労働契約法第19条では有期契約であっても契約更新を期待する合理的な理由がある場合会社側の契約更新拒否を認めていません。

「当初の契約、まあ募集した時の時期と契約した時はもちろん長期のお話はしてたのでそれはもちろん期待させてたことになると思いますね」

 派遣会社は契約更新を期待させたことについて認めています。

「業務量の減少」は本当なのか

 次に「減産による検査数の減少」という理由でしたが当該部署の検査室に検査数が減っているのか確認したところ「減っていない」という回答でした。

 工場が休業になってない以上、検査数は生産数量に大きな影響を受けるものではなく減産は理由になり得ません。

 どの期間でどれだけ減産し、検査数はどれだけ減少したのか、それは人員削減が必要な程度なのか、全く説明がありませんでした。
他にも当該部署で今年1月末の退職予定者がいたため業務量は増えたこと、新しい装置を2台導入し更に1台導入予定であることから本当に人員削減の必要性があるのか疑問です。

人員削減がどのくらいの規模だったのか?

 人員削減の規模についても数百人、数千人規模なら高度な経営危機であり事業縮小だと理解できますが私が受けた説明は私の他には他の工場から数名という規模でした。

 コロナ禍であるとは言え巣籠もり需要で増産見込みと聞いていましたし1回目の緊急事態宣言下も2回目も休業することなく通常通り工場は稼働しており昨年度の稼働日数と今年度の稼働予定日数は1日の違いしかありません。

 人員削減が決まったのは2020年末、既にコロナ禍であった昨年10月に長期安定という説明で雇用し、巣籠もり需要で増産を謳いながら研修期間10ヶ月の職種に対して2ヶ月半で人員削減を決めるのは道理にあいません。

政府の要請を無視しての「派遣切り」

 また現在政府は派遣労働者の雇用の維持に努めるよう要請をしており、休業支援金や雇用調整助成金などの制度もある中いきなり雇い止めにするのは雇用を維持する努力を尽くしたとは到底言えません。

 以上のことからこの雇い止めは労働契約法第19条に抵触する可能性がある上、説明された雇い止め理由は客観的合理的な理由を欠き社会通念上相当とは言えません。

「ちょっとねやっぱ先々厳しいのかなとかちくわも今増産になってますけど本当に大丈夫なのかなって、ソーセージも大丈夫なのかなっていう」

 これは実際に私が雇い止めの説明を受けた時の言葉です。
具体的な数字もなく「大丈夫なのかな」程度で人の生活を壊されては堪ったものではありません。

雇い止めの本当の理由は・・・?

 この不可解な雇い止めの本当の理由は正当な権利を主張した労働者に対しての報復人事である可能性がある思っています。

 派遣会社は、着替え時間についても所定の場所で所定の服に着替える事は使用者の指揮命令下であるにも関わらず「着替え時間の賃金は全スタッフに発生していない」と説明をしていたり15分単位の時給計算を契約書に記載する等コンプライアンスにおいて杜撰な管理体制でありました。

 過去の最高裁判例(平成12年3月9日三菱重工造船所事件)や厚労省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では労働契約や就業規則に関わらず使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間として賃金支払いの対象として認められています。

 着替え時間について賃金を支払うよう交渉した私を辞めさせたかったのかもしれません。

 しかしそれを理由にできないためコロナ禍での派遣先の減産を理由にしたが、こじつけである為に色々とおかしな点が指摘される事となりしっかりと説明することができないのでしょう。

 業務の縮小が本当であれ嘘であれ、労働契約法において更新を期待させる合理的な理由があり、契約更新を申込んだわけですから当該有期雇用契約の更新・成立が擬制(法的にそう見なすこと)されます。

上場企業であるニッスイは雇用責任を果たしてほしい。

 上場企業であるニッスイは政府の要請と法律を守り労働者の生活を守る社会的責任を果たして頂きたいです。

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