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【#橘学苑】「和解解決」記者会見がメディアで報道されました!

 私たち「私学教員ユニオン」は、神奈川県横浜市鶴見区にある私立中高一貫校「橘学苑」に対して、非正規教員の使い捨てやそれによる教育の質の低下等を改善するため、2019年から話し合いを進めてきました。

 その取り組みが、今年6月2日に学校と和解解決し、6月23日、記者会見をして和解内容を発表しましたのでご報告したいと思います。学校は、声をあげた教員たちへ行った停職処分や懲戒解雇を撤回した上で、労働組合法違反の行為を反省する藤谷豊嗣理事長名義の「陳謝文」を、学校HPへ6月23日から5日間掲載することになりました。また、約6600万円もの解決金を組合員及び組合へ支払うこととなりました。

 以下、学校HPでの陳謝文です。


学校Hでの陳謝文の案内


学校HPに掲載された藤谷豊嗣理事長からの陳謝文

 今回の解決は、労働組合の活動や権利が社会的に認められる、とても良い内容のものとなりました。労働環境・教育環境を変えたいという教員の方、ぜひ一緒に自信を持って労働組合で声をあげていきましょう。

◆非正規教員の大量退職と教育の質を改善を目指す取り組み

 橘学苑では、2018年度までの6年間に退職した教職員数は69名にも及んでおり、その多くが非正規教員であったことが2019年春に大きくメディアで報じられていました。2019年秋、この状況を変えようと、正規雇用で働いていた教員たちが労働組合「私学教員ユニオン」へ加入し、学校と話し合いをスタートしました。

 しかし、学校は当初から組合員たちに対して敵対的な姿勢を示し、話し合いも前進しませんでした。そこで、組合員たちはメディアからの取材を受けたり、ストライキし労働環境改善を社会へ訴えるチラシを駅前で配布するなどの「宣伝活動」を行いました。

 ところが、そのような労働組合法上認められた正当な活動に対して、学校側は組合員たちへ停職処分を下し、最終的に2021年3月末をもって懲戒解雇を強行してきました。

 学校の行為に到底納得できない組合員たちは、裁判や、労働組合法違反を救済する「労働委員会」で、それらの撤回を求めて闘っていました。

 そして、2022年12月13日、神奈川県労働委員会が学校の行為は不当労働行為であると認定し、元教員たちへの懲戒解雇は無効とする救済命令を出しました。
 
「橘学苑不当労働行為救済申立事件の命令について」(神奈川県のHP)
 
 また、同年12月22日には、横浜地裁も学校が行った懲戒解雇及び停職処分は無効であるとする全面勝訴判決を出しました。
 
教員の「懲戒解雇」は無効 「ブラック私学」に対し裁判所が厳しい判断
 
 しかし、学校側は判決結果を不服として控訴したため、裁判は東京高裁にて継続していました。

◆メディア報道のまとめ

多くのメディアで和解内容が取り上げられましたので、まとめてご報告します。

①和解成立で異例の陳謝文を公表 橘学苑、教員不当解雇訴訟めぐり(2023年6月23日・朝日新聞)

https://www.asahi.com/articles/ASR6R64P5R6RULFA00M.html

 ストライキをしてビラを配布したことなどを理由に解雇されたのは不当だとして、橘学苑中学校・高校(横浜市鶴見区)の元教員2人が学校側に解雇撤回を求めた訴訟をめぐり、東京高裁で和解が成立した。学校側は、解雇したことは労働組合法上の不当労働行為にあたると認める「陳謝文」をホームページに掲載し、元教員側に解決金として計約6600万円を支払う。

 元教員のうち1人と加入する労働組合「私学教員ユニオン」などが23日、会見して明らかにした。

 和解成立は今月2日付。懲戒解雇は撤回され、合意退職したことを確認した。学校側は陳謝文で、懲戒解雇したことを反省するとした上で、「今後このような行為をしないことを誓約いたします」とした。代理人弁護士によると、和解の際に陳謝文をホームページに掲載するケースは珍しいという。

 橘学苑の担当者は朝日新聞の取材に対し、「和解についてはお答えを差し控える。陳謝文は示した通りです」と話した。

 橘学苑では非正規雇用の教員の大量退職などを受け、元教員らが教育の質の向上などを求めて団体交渉を開始。だが学校側の対応が不誠実だったため、2020年にストをして駅前でビラ配りなどしたところ、21年3月に懲戒解雇されたという。

 元教員側は同年4月に提訴。横浜地裁は22年12月、原告の主張をほぼ認める判決を出した。その後、学校側が控訴していた。

②「橘学苑」が元教員2人の解雇撤回&HP上で陳謝&解決金6600万円 地裁が「正当な組合活動」と認定(2023年6月23日・東京新聞)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/258586

 非正規教員の大量退職を問題視した労働組合活動などを理由に、懲戒解雇された横浜市の学校法人「橘学苑」の元教員2人が、法人側に処分無効の確認などを求めた訴訟は東京高裁で和解が成立した。法人側が処分を撤回し、2人と労組に計約6600万円の解決金を支払う。和解は2日付。

◆非正規教員の大量退職を問題視したら…

 和解条項によると、法人側は2人の停職と解雇処分を撤回した。労組「総合サポートユニオン」宛てに「今後このような行為をしない」と記した陳謝文を23日、学校のホームページ上に掲載した。

 横浜地裁判決などによると、40代と50代の正規教員で組合員だった2人は2020年9月~11月、非正規教員が大量退職している学校の現状を批判するビラを駅前で配布。この行為などが懲戒規定に当たるとして、法人側は2人を21年3月に懲戒解雇した。法人が運営する私立の中高一貫校では13~20年度に少なくとも計166人の教員が退職していた。

 昨年12月の地裁判決では「正当な組合活動を逸脱しない」として、懲戒処分は無効と認定。法人側が控訴していた。

 23日に会見した40代の元教員は「組合活動が正当と認められ、うれしい。使用者側からの理不尽な対応に対抗する手段があることを知ってもらいたい」と述べた。法人側は取材に「陳謝文に示した通り」と回答した。

③橘学苑元教諭解雇めぐる裁判 解決金約6600万円で和解成立(2023年6月23日・テレビ神奈川)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9dbeb38c7ecee3c0be094f191a013947d46f2cbd

横浜市鶴見区の中高一貫校に勤務していた2人の教員が、経営上の問題点を指摘したことなどを理由に、懲戒解雇されたのは無効であるなどと学校に取り消しを求めていた裁判で和解が成立しました。 この裁判は、横浜市鶴見区の学校法人「橘学苑」が運営する中高一貫校に勤務していた教員2人が、学校側に「非正規雇用教員の大量退職問題」などを指摘したことで、懲戒処分などを受けたことは無効であり、解雇後の賃金の支払いなどを求めていたものです。 横浜地裁は去年12月、原告側の訴えを認める判決を言い渡し、学校側は控訴していました。 6月2日の東京高裁での控訴審で、学校側は解雇理由が不当だったと認め、およそ6600万円の解決金の支払い、陳謝文を学校ホームページに掲載することなどで和解が成立しました。 原告側は「今回の裁判の結果が不当な扱いをする使用者への抑止力になり、同様の問題で戦っている多くの先生の良き事例となることを願います」とコメントしました。

④組合活動で解雇、教員2人が和解 「橘学苑」謝罪 /神奈川(2023年6月25日・毎日新聞)

https://mainichi.jp/articles/20230625/ddl/k14/040/054000c

労働組合「私学教員ユニオン」は23日、横浜市で中高一貫校を運営する学校法人「橘学苑」から組合活動を理由に懲戒解雇されたのは無効だと訴えた教員2人の訴訟が、東京高裁で和解したと発表した。学校側が解雇を撤回し、未払い賃金や慰謝料計約6600万円を支払う内容。

◆教育業界全体に広がる非正規教員の使い捨て


 近年、低賃金かつ1年更新の細切れ雇用で働く「非正規教員」が増加しています。非正規教員たちは、授業や担任、部活顧問など、教育現場の中核的業務を担っているにもかかわらず、「雇用の調整弁」とされ一方的に雇用契約を打ち切られています。

 このように教員が頻繁に入れ替わる教育現場では、教育の前提となる生徒との信頼関係の構築や、中長期的な視座に立った生徒への関わりなどはできず、教育の質へも大きな悪影響を及ぼしています。

 特に公立学校以上に私立学校は非正規教員の比率が高く、私立高校の非正規率は4割にも達し深刻です。

 労働組合で労働環境改善に取り組むことは、生徒への教育環境の改善にも直結します。生徒のためにも、労働組合で共に権利行使をしていきましょう!

◆教員の働き方を一緒に変えていきましょう


 私たち私学教員ユニオンは、職場の労働問題を変えたいという教員の方からの相談を受け付けています。

 長時間労働や未払い賃金、セクハラ・パワハラなど、「これっておかしいのでは?」と思ったら、私たち私学教員ユニオンまでお気軽にご連絡ください。相談は無料、秘密厳守でおこなっております。

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